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心拍数の上げ下げを30分繰り返して心肺を強化

新田さんがC選手に提案したメニューは、低酸素下のハイアルチの自走式トレッドミルを使用して、心拍数を180~190拍/分まで一気に上げ、目標値に達したら、ジョグペースで走って100拍/分まで落とす。それを30分間繰り返すというシンプルなものだ。
時短高負荷
「このように心拍数の上げ下げの幅を大きくすることで心肺機能を高めることができます」。
【スピードを出して走り、心拍数を一気にあげる】
時短高負荷
全力で走り、心拍数を180~190拍/分に一気に上げていく。
【スピードを落とし、約30秒間で心拍数を落とす】
時短高負荷
目標値に達したら、ジョグペースにスピードを落として心拍数を100拍/分にまで落とす。100拍/分に落ち着いたら、再びスピードを上げて心拍数を180~190拍/分へ一気に上げる。これを30分間繰り返す。
心拍数をしっかり上げてから、しっかり落とす。これにより、心臓のポンプ機能が強化され、長時間にわたって持久力と瞬発力とを両立させることが可能になるという。言葉にするとシンプルだが、注意すべきポイントも当然ある。
「180~190拍/分まで一気に上げた後、約30秒かけて100拍/分まで落とすことが理想です。ただし、これはかなり心肺機能が高い人でないと、そんなスピーディに心拍数は落とせません。ですから始めは30秒というタイムにこだわらず、心拍数を一度上げきったら、100拍/分に落ち着かせることを優先して、ゆっくりジョグを行うというやり方で問題ありません」。
効率という観点からいえば、低酸素環境下で行ったほうが即効性は高いが、通常のジムや街中で行っても、一定期間続けることで同等の効果が期待できるという。もしキツすぎるようなら、25分間ジョグをした後、残りの5分間でバーピー(20秒間全力で行い、10秒レスト。これを5分間繰り返す)を行って体を一気に追い込む、という方法でも良いとのこと。
ちなみにC選手の場合は、「とにかく早く成果を出したい」という本人の希望もあり、5日間連続で行ったそう。このトレーニングの後で「ヨーヨー間欠性持久力テスト(※)」を実施したところ、トレーニング前は約5分でアウトになってしまっていたのが、10分までできるようになったという。そして現在では、再びチームのスターティングラインアップの一員としてプレーする機会も増えているという。
高い運動能力を活かすためのスタミナ強化に効く時短高負荷トレーニング。サッカーに限らず、野球やバスケなど若い頃にスポーツで鳴らした経験がありながら、「昔はもっと走れたんだけどなあ」「あんなプレー、オレも簡単にやってたけどね」と嘆くオーシャンズ読者諸兄にもトライしてみてほしい。
※ヨーヨー間欠性持久力テスト
シグナル音に合わせて20mの往復走を繰り返す体力テスト。次第にシグナル音の間隔が短くなっていき、音に遅れることなくゴールできた回数で持久力を推し量るもの。
 
「ジタンコウフカのススメ」
「忙しくて時間がない」「ジムトレもそろそろダレてきた」という男性諸君、ちょっぴりキツいけどサクッと終わるトレーニングはいかがだろう。キーワードは「ジタンコウフカ(時短高負荷)」。呪文のようだが、そこには科学の力を借りて効率よく体を変えるヒミツが隠れている。サッカーやラグビーの日本代表選手も通いつめる高地トレーニング施設のトレーナーに、理論と実践法を教わっていこう。上に戻る
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【取材協力】
ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00~22:00(平日)、10:00~19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/
空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。
 
【Other Training Menu】
低酸素スクワット/低酸素プッシュアップ低酸素シットアップバーピースプリットランジスケーティングジャンプ/歩き方/ランニングマシン100mダッシュメンテナンス胸郭の回旋トレーニングジャンプコモドドラゴンフォアフット走法
楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真


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