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グローバルなスナックカンパニーへ

パッケージの変遷。左2つの1959年、1973年のキャラクターには名前がなかった。右は1988年に登場した2代目キャラの「ベイちゃん」。現在のパッケージは3代目の「ホシオくん」だ。お調子者で憎めない男の子。4万7000件以上の一般公募のなかから選ばれた名前である。
マーケティングと経営の専門家として’17年に入社した髙口氏。当時のおやつカンパニーにマーケティング部門はなかったという。まずは「マーケティング」を社内に根付かせることから始まった。
「いいものを作っていればマーケティングはいらない、という空気感もあったように思います。ですから最初は『そもそもマーケティングとは何か』から伝えていきました。すると興味のある社員から反応し始めるんです。感度の高い社員にはより多くの情報を伝え、より多くコミュニケーションをとるようにしました」。
「マーケティングの必要性」を浸透させること2年。現在、マーケティング本部に所属する社員は16名となった。このチームを核に、“食”という新たなカテゴリーに挑んできたのは述べてきたとおりだ。
説明不要のロングセラー「ベビースターラーメン」/おやつカンパニー
説明不要のロングセラー「ベビースターラーメン」。即席麺製造時に出る麺のかけらを集め、従業員のおやつとして配っていたことがその始まり。定番のチキン味のほか、ソース味、うましお味、鶏ガラしょうゆ味がある。すべてオープン価格/おやつカンパニー ︎059-293-2398
「私はしばしば、おやつカンパニーという企業を『国籍は食品です。今の現住所がおやつなんです』と説明します。創業当初は即席麺を作っていた会社ですから、“食”との相性が悪いはずがない。ですから料理の市場への参入は、本来眠っていた価値を改めて掘り起こした結果の、誰もが『確かに』とうなずける展開だと思っています」。
日本でのマーケティング、ブランディングに並行して、海外での事業展開にも積極的に取り組んでいる。現在は台湾をはじめとした東アジアでの商品展開に注力。現地の味覚の好みに合わせた「ベビースター」を販売している。
「これまで“たっぷり、たのしい。”を企業理念に、子供のおやつを作ってきました。もちろんそのおいしさは追求します。そのうえで『さらにグローバルなスナックカンパニーへ』という意識を社員全員が共有しています。これからも『食としてのベビースター』の挑戦を続けていきたいですね」。
 
※1 スナッキング
3回の食事に加えて、適度な間食をとる食事法。空腹状態を減らし、反動としての過食を抑える効果があるという。多くの海外セレブが実践していることから、日本でも話題に。
 
鈴木泰之=写真 加瀬友重=編集・文


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