「備えよ。俺も、新学期」とは…夫婦は結婚3年目に危機を迎えるというが、新入社員は入社3カ月が危ないらしい。
「6月頃に辞める新入社員が多いのは、
“リアリティショック”という問題に直面するからです」と語るのは曽和利光さん。オーシャンズウェブの人気連載
【20代から好かれる上司・嫌われる上司】でお馴染みの組織と人事の専門家だ。
彼らが入社3カ月で経験するリアリティショックとは何か。そのとき上司はどう接するべきか。曽和さんに教えてもらいましょう!
曽和利光さん株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長。1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
入社3カ月で直面するリアリティショックの正体
リアリティショックとは、
新入社員が職場に抱いていた理想と現実のギャップにショックを受けることです。ある採用メディアの調査で、新入社員の約6割が「感じたことがある」と回答するぐらいポピュラーなもので、決して弱い人だけがなるわけではありません。
いわゆる“5月病”と同じと考えてよいでしょう。ちなみに、最近は5月のGWを満喫し、祝日のない6月にガクッと気落ちするようで、一部では“6月病”とも呼ばれています。
文句が言いたいわけではなく自信を失った状態である
上司からすると、「最近の若者が『やりたいと思っていた仕事と違う』と文句を言ってるだけだろ?」 などと思うかもしれません。しかし、そうではなく、多くの新入社員は「自分はもっとできると思っていたのに……」と社会人としての自分の能力の低さを痛感し、職場の人間関係や雰囲気に馴染めないと自信をなくしている状態なのです。
不満があるわけではないので、実際、「会社に行きたくない」「焦る」「将来が不安」「辞めたい」という気持ちがほとんどです。
SNSの普及で、自信を持つのが難しい世の中に
今の新入社員は
ソーシャルネイティブ世代などとも呼ばれており、常時友人や社会とソーシャルメディア上でつながっています。それによってもともと日本人に強いとされる同調圧力(周りの意見に合わさせること)や社会的証明(世間での評判を気にすること)という意識が強化され、副作用として自信を持つことが難しくなっていると考えられます。
基本的にみんなソーシャルメディアにはポジティブな成果ばかりアップするので、どうしても自分と比べてしまい「僕(私)なんてたいしたことない存在なんだ」と感じやすいのです。
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