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2020.03.07

たべる

目の前に広がる昭和の景色。おでんの「出汁割」に一度で二度HOTする

HOTする酒●キンキンに冷えたビールが夏の醍醐味なら、冬には冬のそれがある。晩冬の寒ささえ風情として楽しめて、心も身体も温める、HOTする酒。
「温かい酒」を考えたとき、日本には後世へ語り継ぎたい酒がある。おでんの「出汁割」だ。
地下にあるのに「屋台おでん屋」……。一体どういうこと?
日本酒の熱燗をおでんの出汁で割るこのカクテル(?)、昭和時代まではポピュラーな飲み方だったらしいが、今ではその美味さに反し、なかなか飲む機会に恵まれない。
ってことで、やってきたのは四ツ谷にある「屋台おでん屋」。三代目店主の羽根義人さんに「出汁割」の真髄を学ぶ。
短期連載「HOTする酒」最終回。昭和へタイムスリップした我々は、おでんの出汁割に一度で二度HOTすることになる。
 

どういうこと? 屋内だけど屋台なおでん店

テーブルで湯気を放つおでんの数々。食欲をそそる。
階段で地下に降り、店の引き戸を開ける。目に飛び込んできたのは、湯気を放つおでん鍋が乗ったふたつのテーブル。店内に流れる音楽は、どこか懐かしい昭和の歌謡曲だ。’60年代にタイムスリップしたかと錯覚しそうになるが、間違いなく令和2年の四ツ谷である。
三代目店主の羽根義人さんに話を聞いた。
「もともと、この店は屋台のおでん屋だったんですよ。昭和20年代、先々代が中央線沿いの駅前で屋台を開いたのが店の始まりです。平成になってからどんどん規制も厳しくなって、店はこのテナントに屋台ごと移して今に至るというわけです」。(羽根さん)
そう言われてハッと気付く。よく見ればこのテーブル、ただのテーブルではない……「屋台」だ。
テーブルの足元をよく見てみると、なんと立派な車輪が!
「どちらも先々代のときから使っている屋台です。ここに運び込むときに一度解体して組み直しましたが、1度も壊れたことないですね。そして今日お話する出汁割も先々代の頃からずっと親しまれてきた、歴史の長い酒です」。(羽根さん)
出汁割がそんなに歴史の長い酒だったとは、まさにつゆ知らず。では、さっそくいただきましょうか。


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