ファッション誌を中心に数々のブランド広告やアーティストのスタイリングなど、幅広い分野で活躍しているスタイリスト、宇佐美陽平さんはなにかとニューヨークと縁がある。
今回宇佐美さんがコラボしたラグ & ボーンも、そんな縁の深い東海岸を象徴する洗練されたブランドだ。
スタイリスト・宇佐美陽平さんが手掛けるラグ & ボーンのベーシックを極めたデザイン
[1]厚手なのに柔らかい、国産スウェット仕立てのプルオーバーパーカ。「頻繁に着られるよう、洗っても縮みにくい生地を選びました。ポケットはシームに沿っていて、裏地付き。できるだけ引き算を心掛けてデザインしたつもりです」。
[2]かなり目の詰まったコットンのカットソー生地を使って仕立てたジョガーパンツ。「伸縮性が高くて快適だけど、ハリのある生地でだらしなく見えないのがポイントです。裾はリブなしで、すっきりとさせました」。
[3]控えめな光沢のあるコットン素材のカットソー。クラシックなシングルステッチで処理した裾の表情がこなれ感たっぷり。「作りはゆったり、袖リブは狭め。日本人の体型にも合いやすいバランスを意識しました」。
[4]ライトブルーに色落ちしたデニムはやや股上が深めでワタリも広め。「従来のラグ & ボーンにはなかった、少し太めのシルエットです。テーパードさせているから、ルーズにならずにはけますよ」。
「昔、フラフラとNYの街を歩いていて偶然お店を覗いたのがラグ & ボーンとの出会いでした。シンプルで上質で、デニムが印象的でしたね」。この街のムードをよく知る宇佐美さんに白羽の矢が立ったことには頷けるが、彼がつぶやく「やりすぎないように意識しました」という言葉は、その経歴を踏まえると少し意外だ。
「ファッショナブルにしようと思えばいくらでもできるけど、そうなるとラグ & ボーンの良さを潰してしまう。“らしさ”を残しながら、今までにはなかった部分を補いたかったんです」。
その“部分”としていちばん顕著なのがシルエットだ。例えば腰回りにはゆとりを持たせつつ裾はすっきりとさせたユルめのデニムや、着丈はレギュラーでも身幅がワイドなカットソー。どれもスタンダードに見えながら実際に袖を通すとナルホド、さりげなくモダンに見える。また、生産背景にもこだわりが。
「できるだけ、メイド・イン・ジャパンで実現したかったんです。デニムは岡山県産の赤耳の生地を使っていて、スウェットは吊り編み機を使って和歌山県で作っています。肉厚でヘビーに見えるけど、着ると柔らかいんですよ」。もちろん、ルックスはあくまで、これぞNYスタイル!というような洗練されたカジュアル。
「自分自身も着たいと思えるものができました。これが大人のワードローブのベースになってくれたなら、それがいちばんうれしいですね」。
| スタイリスト・宇佐美陽平さん Age 43 1976年生まれ、東京都出身。ストリートカルチャーから最新のモードにまで精通し、国内外の人気ブランドや実力派のクリエイターたちから信頼されている。20年以上にわたって、ファッションシーンの第一線で活躍中。 |
鈴木泰之=写真(静物) 菊池陽之介、松平浩市=スタイリング 増田海治郎、髙村将司、いくら直幸、増山直樹、菊地 亮=文 長谷川茂雄、今野 壘、大関祐詞=編集・文