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2020.03.04

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家で簡単に作れる「ホットバタードラム」が最高な寝酒になる予感

HOTする酒●キンキンに冷えたビールが夏の醍醐味なら、冬には冬のそれがある。晩冬の寒ささえ風情として楽しめて、心も身体も温める、HOTする酒。
「ホットバタードラム」をご存知だろうか?
そう、バンドに欠かせないあの打楽器……ではなく、ラム酒の飲み方の一種である。北米生まれのナイトキャップ(寝酒)で、晩冬の夜にも打ってつけ。日本では馴染みが浅いが、これを知らないのは損ってものだ。

というわけで、今回は西麻布のラム専門バー「Tafia(タフィア)」を訪問。日本ラム協会の理事、多東千惠さんにホットバタードラムの魅力とレシピをうかがった。この美味さは、寝酒の1杯じゃ収まらないぞ。
 

北米生まれのHOTする寝酒「ホットバタードラム」

西麻布のラム専門バー「タフィア」では、200種類以上ものラムを取り揃える名店。
ラムと砂糖、スパイス、バターで作る温かいカクテル「ホットバタードラム」。
「イギリスでは寝酒や風邪のひき始めで飲まれる有名なカクテルで、街のバーはもちろん、空港のラウンジなんかでも気軽に楽しめますよ」(多東さん)。
カリブの香りがたっぷりな店内。キューバの英雄、チェ・ゲバラの姿も。
ラムと言えばラムコーク、そしてカリブの国を思い浮かべる人も多いだろう。それもそのはず、もともとラムは、コロンブスがアメリカ大陸を発見後、欧州人が持ち込んだサトウキビを使い、カリブ海周辺で生産されるようになった酒である。
多東さんによると、カリブの海賊やイギリス海軍などの船乗りが、壊血病の薬として船上で飲んでいた歴史もある(あとでわかったことだが、ラムで漬けたライムのビタミンCが病に効果的だったのだ)。
カリブ周辺国は基本的に暖かく、ラムはストレートやラムコークで飲まれることが多い。そんなこともあり、実は「ホットバタードラム」を生み出したのは寒さの厳しい北米。それがイギリスに逆輸入されて広まったのだという。
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至福の一杯を約束する、ラムとバターのいい関係

200種類ものラムを扱う西麻布のバー「タフィア」。壁一面に見たことのないラムがズラリ。
日本ではほぼ浸透していない「ホットバタードラム」。一体どんな味がするのだろう?
「ラムは、クッキーやケーキなどの焼き菓子で、香りづけとしてよく使用されています。ラムとバターとの相性が非常に良く、このカクテルでは奥深い味わいを濃厚に感じられます」(多東さん)。
ホットバタードラム(1100円)。
グラスを顔に近づけると焼き立てのパウンドケーキのような香りが……これは美味そうだ。
ひと口飲むと、ラムの芳醇で柔らかな甘みとバターのマイルドなコク深さが絶妙にマッチ。砂糖の甘さはほとんど感じず、スパイスの刺激が程良いアクセントとして利いている。意外にもスッキリしていて飲みやすいのも驚きだ。
「冬の寒い時季にはよく注文が入ります。ビターで甘い香りのする葉巻とも相性がいいので、ホットバタードラムとをセットで楽しまれているお客さんも多いんですよ。飲んだあとは温泉に入ったあとのように体がポカポカするんです」(多東さん)。
多東さんが「ホットバタードラム」に使うのは、ジャマイカのダークラム「マイヤーズ」。
浮かび上がったバターが膜の役割を果たし、最後まで熱々なまま飲めるのもうれしい。香りこそ洋菓子に近いものがあるが、味はピリッと大人味。ビール党やハイボール派の大人も、これならハマるに違いない。
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ラムの種類は何がいい? ホットバタードラムの作り方

ホットバタードラムに必要な材料はたったこれだけ。四角の黒い皿が砂糖、バター。丸い白の皿がシナモン(左)、ナツメグ(右)。
寝酒ならぜひ自宅で味わいたいところ。ってことで、レシピを聞いてみた。ラムとバターと、えーっと……あとは何が必要なんだっけ?
「まず、ラムは全世界に約4万銘柄あると言われています。簡単にジャンル分けしても、ホワイトラム、ゴールドラム、ダークラム、スパイスドラム(ラムリキュール)とさまざまですからね」。
せっかくなら美味しいホットバタードラムが作りたい。日本ラム協会の理事は、「ジャマイカのダークラムがいいですよ」とオススメする。
「ジャマイカのラムは発酵させる時間が長く、複雑なアロマと酸味が生成されます。ボディが厚いので、スパイスをいろいろ混ぜても、最後までラムの味・香りがしっかり楽しめますから。マイヤーズなら、コンビニでも買えたりしますよ」(多東さん)。
それは耳寄り情報。それでは最後に、多東さん直伝、「ホットバタードラム」の作り方をご紹介。
日本ラム協会の理事に聞く、「ホットバタードラム」の作り方
●材料(1人分)
[A]
ラム     30ml
[B]
水 200ml
砂糖     小さじ1杯
シナモン 小さじ1杯
ナツメグ 小さじ1杯
無塩バター 10グラム(ひとかけ)
●作り方
①耐熱グラスに[A]のラムを入れる。
②[B]をすべて合わせて火にかける。
③沸騰したら[A]のグラスに注げば完成。スパイスは少し苦味のあるクローブや、オールスパイスを使っている店もあるが、まずはクセが少なくスッキリ飲めるシナモンとナツメグがオススメ。
この日(2月末)は冬の厳しい寒さが残る1日だったが、飲み終えるころには少し汗ばみ、手先足先までポッカポカ。「このままベッドに潜り込めばすぐに夢の中だろうな」なんて考えながら店を後にした取材陣。
冬の終わりを少し寂しく感じる。ホットバタードラムは、そんな風情豊かなHOTする酒だった。お試しあれ。
 
[店舗詳細]
Tafia
場所:東京都港区西麻布2-15-14 ウエストポイントビル 1F
営業:月、火、水曜日は17:00〜翌3:00、木、金、土曜日、祝日は11:30〜翌3:00(日曜定休)
電話:03-3407-2219
横尾有紀=取材・文

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