OCEANS

SHARE

命を食べていることを意識する

働く柳田さん
「僕は有機野菜じゃなくてはダメ、なんてまったく思ってないんです。それよりも普段目にする野菜がどんなふうに作られてどう成長して、野菜を作っている人はどんな思いを持っているのか……。その過程を知って、命をいただいているんだとわかる子になってほしい。スーパーに並んでいるのはただの商品ですが、畑で見ると野菜も生き物なんです」。
それを改めて柳田さんが言葉にすることはない。一緒に畑に行けば自然と伝わることだからだ。休日、子供たちは積極的に農作業を手伝ってくれるという。
柳田さん
「勝手に遊びだすんです。虫を捕まえたり、勝手に人参を引っこ抜いたりね(笑)。都心で働いていたころと違い、家族との時間をもっと大切にできるようになったのも農業を始めてよかったことのひとつ。食卓では野菜を今日はこんなバリエーションで食べてみようとか、今日採れた野菜でピザを作ってみよう!なんて、子供と一緒に料理を楽しむようになりました」。
お父さんが愛情をこめて作った野菜だと子供たちも肌で感じているからこそ、自然と興味が持てるのかもしれない。「娘は嫌いだったトマトを食べるようになってくれたんです」と語るその笑顔は、家族への愛情に溢れていた。


4/4

次の記事を読み込んでいます。