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心を柔らかくして、いざ出陣

各部屋にはコーヒー豆とミルが用意されている。
まるで生業でもあるかのように旅をしている。その滞在の多くはホテルになる。海外は言うまでもなく、国内でも仕事がらみであればホテルである。旅館に泊まる機会が多いとは、決して言えない。しかも、それが老舗旅館であれば、泊まるにはそれなりに心の余裕が必要だと思っている。
宿泊する者をくつろがせようと心を配られた調度、その土地の豊かな実りが丁寧に調理された食事、そして何よりも、お世話をしていただく仲居さんの方々、そして女将さんの、さりげなさの中にある心遣い、それらを感じ取るためには、こちらの心が柔らかくないとならない。
日々、いかに慌ただしく、心が固くなっていようと、旅館に出かける前には、静かに音楽を聴いたり、神社に寄ってみたり、まずは心のストレッチをして出かけたいと思っている。
源泉賭け流しの内風呂では、窓から差し込む光が、四季折々の表情を映し出す。
母はポチ袋を集めていた。昔はあった酒屋や米屋の御用聞きさんへの季節の挨拶、そして料亭や旅館でお世話になった仲居さんへのお心づけを入れるために、粋な柄、かわいい柄の描かれた袋が入った小箱があった。探せば、どこかから出てくるかもしれない。
そろそろ母のポチ袋を使わせてもらおうか。お世話になった感謝を、照れずに自然に、女将さんや仲居さんにお伝えするには、少々の年季がいるものだ。
茶室のようなサウナはプロサウナー松尾大氏が手掛けたことで話題に。
老舗旅館に泊まる喜びを知るには、自分の力量が必要なのだなと、今は思う。旅館に泊まっても良い大人になっただろうか。
おちあいろう
住所:静岡県伊豆市湯ヶ島1887-1
電話:0558-85-0014
1泊6万7000〜10万2000円(税・サ込み)※1名料金1泊2食お飲み物代含む
www.ochiairo.co.jp


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