特集
OCEANS Fashion X Talk
2020.03.01
車


2019年11月に日本で販売が開始された2代目アウディ A1。筆者はこの車の初代3ドアモデルに乗っていた。
私の初代A1は全長3.9mのコンパクトなボディに、内装はシックなブラックレザー、当時のA8同等の最新技術を備えた、小さな高級車として、今もって欲しいと思える車である。残念ながら、第二子の誕生によって(3ドアでチャイルドシートに子供2人を乗せるのがひと苦労だった)、ひと回り大きなA3へと買い替えるにいたったのだが。
さて、今回のモデルチェンジで大きく変わったのは車の根幹を成すプラットフォームが刷新されたことにより、ボディが4mを少し超え、またタイヤを車体のできるだけ隅に置くことで車内が広くなった点にある。5ドアのみの設定だから以前の私のような思いをせずに、家族4人の幸せが得られるのはうれしいポイントだ。
エクステリアデザインで目を惹くのはフロント中央ボンネット下のスリット。実際に通気はさせないが、何とも凝った形状だ。フロントグリルの3分割のデザインは往年の名車、アウディ スポーツクワトロへのオマージュだという。こんな小さな車にここまでやるか!? と驚かされる細工が随所に見受けられる。
ところで、初代のキャッチコピーは自分の価値観を大切にする、高い審美眼を持つユーザーを想定した「アーバンエゴイスト」だった。一方、新型は「この世のすべてを楽しみつくせ」。さらに「仕事とか遊びとか、分けてる暇なんかない。まあまあとか、こんなもんでしょとかじゃ終われない。だれのものでもない。この私、最高の自分でいないと意味なんかない」と続く。
本当に価値観が多様化しているように思う今日この頃。そんな時代だからこそ、公序良俗に反しない範囲で自分らしさを見つめ続けることが大事だと思う。トレンドに左右されず、でも意固地にならず。時代の流れにしなやかに身を踊らせることができれば、と願う。車の大小でヒエラルキーを語る時代はとうに終わっている。小さくなるほど繊細にそのものを感じようとする心の動きに、このアウディA1は気付かせてくれるのだ。
A1はアウディのエントリーモデルに位置するが決して安い買い物ではない。そこにどんな価値観を見いだせるかが、貴兄の個性を証明する。眺めて、触って、走らせれば、この小さな車の価値や貴兄の至福がどこにあるかがわかるはずだ。
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