人生いろいろだなあと思いつつ、ふと横をみると……。あれ、ホッピーだ。こんな洒落たカフェバーで出会えるとは。
「うちはホッピー好きのお客さんが多くて、カウンター全員がホッピーを飲んでいることもよくあります」。
すかさずホッピーセット(640円)を注文した。
ギョーザ入りあつあつ酸辣湯、キューリと人参の出汁マリネ、肉厚しいたけのバター醤油焼き。手の込んだ品々は、すべて沙織さん作だ。
カウンターでは常連の紳士たちがアメリカの大統領予備選について話している。
「ほら、何だっけ。あの民主党の若い候補。名前が難しくて覚えられないんだよ」。「ブディジェッジね」。ここで、沙織さんが「ジョコビッチみたいですね」と茶々を入れる。
カウンターの反対側に若い男性が静かに飲んでいた。聞けば、沙織さんが兼務しているイタリアンレストランの後輩だという。
「沙織さんですか? いい意味でスタッフやお客さんを転がすのが上手い。基本やさしいけど、現場では影の王様というか裏ボス的な存在ですね」。
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