「燗酒」向きの日本酒の特徴は意外にも……
──……では、三度目の正直。熱燗向きの日本酒は?遠藤 もっとも燗酒向きな日本酒は、うちで言うと山廃仕込(やまはいしこみ) 純米大吟醸の
「久保田 碧寿(へきじゅ)」ですね。しっかりとしたコクや旨味が楽しめるのが特徴になります。
──え!? 純米大吟醸を燗酒に?遠藤 そうですね。純米大吟醸はキレイな飲み口のものが多く、値段も安いわけではないので、燗酒にするのはもったいないと思われがちです。
しかし、温めたときに旨味が感じやすく、味わいも広がることから「お燗にして美味しい純米大吟醸」というコンセプトで作られました。
──この山廃仕込ってなんですか?遠藤 山廃仕込は、伝統的な醸造方法のひとつです。お酒の元となる酒母に、空気中から自然の乳酸菌を取り込み、酵母を育てる製法です。アミノ酸などの旨味成分が残りやすいため、しっかりとした味の日本酒になります。
ちょっとこの「久保田 碧寿」を、常温と40℃のぬる燗で、飲んでみてください。
──いただきます。(ゴクッ……)常温も美味しいですが、熱燗はとても旨味を感じます。遠藤 そうなんです。常温と比べると、コクや旨味、甘味が強調されますよね。ちなみに、温度を上げていくとアルコールの辛さが出てくるので、すっきりシャープな感じになっていきます。
山廃や生酛(きもと)造りのお酒は、乳酸、アミノ酸などの旨味をしっかり感じられるので、一般的に燗酒に向くと言われています。
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