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国民の車を“世界の車”にしたゴルフ

ビートルの後継モデルとして開発されたのが、1974年にデビューした「ゴルフ」だ。デザインしたのはカーデザイン界の巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ。
ビートルと形はまったく異なるものの、コンパクトなボディに快適な居住空間を備え、比較的手頃な価格に抑えられたこの車は、ビートル、そしてフォルクスワーゲンの基本思想を継承したモデルと言える。
1974年に登場した初代ゴルフ。ビートル同様、ゴルフも派生モデルが度々登場し、最近ではカブリオレやクーペのシロッコ、ミニバンのトゥーラン、SUVのティグアン、またビートルのリファインモデルであるザ・ビートルのベースにもなっていた。
初代ゴルフは瞬く間にコンパクトカーのベンチマークモデルとなり、世界中のライバル社はゴルフがモデルチェンジするたびに、同水準以上のコンパクトカーを目指すためにゴルフを研究したと言われる。
そのゴルフの新型(8代目)は2019年8月にドイツでデビュー。日本には2020年後半に導入される予定だ。
日本未導入の8代目ゴルフ。自動運転技術の一部である運転支援システムや、ほかの車や信号などと通信し、事故や渋滞などの情報を共有できる機能や、通信技術でソフトウェアを常時アップデートできるなどデジタル化が一気に進んだ。マイルドハイブリッドモデルも用意されている。
フォルクスワーゲン社はこれまで度々他社の買収を繰り返し、現在ではアウディやベントレー、ブガッティ、ポルシェ、ランボルギーニなどを傘下に収め、グループ全体での2019年販売台数は4年連続で世界ナンバー1の企業体になっている。
ちなみに買収戦略で同グループを世界トップクラスの企業へと導いた立役者はフェルディナント・ピエヒ氏。フォルクスワーゲンの原型をつくったフェルディナント・ポルシェ博士の孫にあたる。2019年に、惜しまれながら82歳で亡くなった。
 

新たな国民車へ。今後10年で約75車種の電気自動車を投入

フォルクスワーゲンは以前から、ディーゼルエンジンを得意としていた。しかし2015年のアメリカでの排気ガス不正問題を受けて、大市場であるアメリカをはじめ販売が低迷。これを機に、フォルクスワーゲンは大きく電動化へと舵を切った。
2019年11月にはグループで2029年までに約75車種の電気自動車を投入すると発表。一気に電気自動車へと進んで行くことを鮮明にした。世界ナンバー1の自動車メーカーが電気自動車の時代もリードし続けていけるのか、今後10年のフォルクスワーゲンからも目を離せない。
フォルクスワーゲンとしては、現在7型の電気自動車の販売を予定している。その中からゴルフサイズのID.3(写真)が2019年11月から生産が開始された。2020年中旬にはドイツを皮切りに販売開始の予定。
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