前衛的で個性的。決して万人受けする車ではない
トラクシオン・アバン、2CV、DSと独創的な車を世に送り出してきたシトロエン。グループPSA参加に入り、プジョーと基本的な骨格やエンジン、ミッション等を共有しているものの、2CVやDSで見せたように、乗り心地にこだわるシトロエンらしさは今も追求している。
料理と同じで、コックが変われば同じ素材を使ってもまったく違う味になるというわけだ。また見た目も、プジョーはもちろん、ほかのどのメーカーとも違うデザインを纏うなど、独自の世界観を表現し続けている。
こうしたことから、前衛アーティストのように、一度好きになると長年シトロエンファンという人も多い一方で、乗り心地やデザインへの“クセ”から万人受けする車ではないとも言える。
そのため日本の街並みでも見かけることはまだ稀。つまり他人と被らない車が欲しい“革新派”な人にとっても、一考の価値があるといえるだろう。
籠島康弘=文