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前衛的で個性的。決して万人受けする車ではない

トラクシオン・アバン、2CV、DSと独創的な車を世に送り出してきたシトロエン。グループPSA参加に入り、プジョーと基本的な骨格やエンジン、ミッション等を共有しているものの、2CVやDSで見せたように、乗り心地にこだわるシトロエンらしさは今も追求している。
シトロエン「C3」
シトロエン「C3」。1.2Lターボ×6速ATを搭載するコンパクトカー。ボディサイドにエアバンプと呼ばれる衝撃吸収パネルを備えるなど、ひとめでそれとわかる個性的なデザインを備える。また先進機能として、ルームミラー内蔵型「コネクテッドカム」を上級グレードに標準装備。ドライブレコーダーとしての機能のほか、ドライブ中に撮った映像をスマホ経由でSNSに投稿、が簡単に行える。
料理と同じで、コックが変われば同じ素材を使ってもまったく違う味になるというわけだ。また見た目も、プジョーはもちろん、ほかのどのメーカーとも違うデザインを纏うなど、独自の世界観を表現し続けている。
シトロエン「グランドC4スペースツアラー」
シトロエン「グランドC4スペースツアラー」。7人乗りミニバン。8速ATのシフトノブがステアリングの奥に配されていたり、ダッシュボード中央にあるディスプレイに速度計等が表示されるなど、個性的なインテリアを持つ。さらにフロントウインドウもドライバーの頭上近くまで広がっていて、オプションの大型のパノラミックルーフを備えれば、車内は明るいことこのうえない。
シトロエン「C5エアクロスSUV」
シトロエン「C5エアクロスSUV」。全長4.5mのミドルサイズSUV。同社が「ハイドロニューマチックの現代的解釈」とするプログレッシブ・ハイドローリック・クッションを足回りに備える。シトロエンらしい“空飛ぶ絨毯”のような乗り心地を提供してくれ、かつ複雑な機構ではないため故障の心配も少ない。間もなく同社初のハイブリッドモデルがリリースされる予定だ。
こうしたことから、前衛アーティストのように、一度好きになると長年シトロエンファンという人も多い一方で、乗り心地やデザインへの“クセ”から万人受けする車ではないとも言える。
そのため日本の街並みでも見かけることはまだ稀。つまり他人と被らない車が欲しい“革新派”な人にとっても、一考の価値があるといえるだろう。
 
籠島康弘=文


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