大卒だから「就職は安心」と言えない時代
──将来設計と奨学金の組み合わせですね。あともうひとつ、お子さんが大学に進学した場合も、奨学金の考え方に注意点があります。
──大学でも注意点……。何ですか?ひと昔前は、大学への進学者は少数でした。例えば、今40歳の方が18歳の頃は、大学への現役進学率は全体の27.4%。しかし、2019年は49.8%と、倍近くまで増えています。大学に行く人が珍しくなくなったわけです。
──大学への進学者が増えると、奨学金に注意が必要なんですか?はい。ここも「就職」がポイントです。昔は大学を卒業していれば「就職もしやすい」と考えられたでしょう。待遇面でも高卒よりも大卒のほうが良く、ある意味将来の保証があった時代であったといえます。しかし今は、大学卒業が珍しくない。つまり、そこまで就職には有利にならない。すると、奨学金を払って大学を出たものの、就職に失敗して返済に苦しむケースが出てくるわけです。
──そういうことですか。親世代が持つ「大卒」のイメージと現状では、大きな差があるんですね。少子化の一方で大学は増え続けて、非常に入りやすくなりました。いまや大卒は珍しくない。親御さんがそのギャップを知らず、失敗するケースがあります。
──なるほど。なので、将来設計と現代の進学状況を知ること。そのうえで、卒業後にきちんと返済できるか考えて利用するのが奨学金のポイントですね。そのためには、お子さんが進路を選択する段階から、親御さんが細かくコミュニケーションをとらなければなりません。
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