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時計関係者も評価する“ぶっ飛んだ”デザイン

広田 ラグジュアリーブランドの本格志向は確実に高まってますね。一方で、ファッションブランドという括りで言うと、“普通”な時計を出しているところもある。ブランドの世界観を押し出すことなく、言ってみれば「ライセンスで作ってるんじゃないかな?」みたいな。そんななかで、確かにグッチに関しては、アレッサンドロ・ミケーレがデザインしたなって感じさせる、相当ぶっ飛んだのが出てます。「この時計使えるの、今年いっぱいかな」というものも含めて(笑)。
安藤 いいんです、それで。今を最大限に楽しむのが本来のファッションウォッチなんじゃないかなと思うんです。腕に着けて出かけたら「とにかく気分が上がる」っていうのが大事。だけどそれって、簡単そうで実はかなり難しい。次から次と新しい楽しみを発明していかなくちゃいけないわけだから。
広田雅将●1974年、大阪府生まれ。腕時計専門誌「クロノス」編集長。腕時計ブランドや専門店で講演会なども行う業界のご意見番である。その知識の豊富さから、付いたあだ名は「ハカセ」。
広田 その意味で、グッチの時計作りって、ジュエリーと同じ感覚なのかもしれないですね。
安藤 まさにその通りかも。貴金属を使うわけでもなく、すごい機械を載せているわけでもなく、単純に今という瞬間を楽しみたい人のためのもの。別に資産価値があることが必要条件じゃない。
広田 ない、ない。
安藤 そしてそんな刹那的な存在であることは、むしろ贅沢な選択だと思うんです。シーズンごとに内容がガラリと変わるから、買うなら今しかない。90年代のスウォッチとか、それが楽しかった。スウォッチほど安くはないけど、その分、しっかりと高級感のある作り込みはされているし。
広田 僕が編集長をしている時計専門誌でも、グッチはずっと定点観測してるんです。時計ブランドに関していうと、ひと昔前まではファッションのトレンドと腕時計のトレンドって、必ずしも一致してなかった。でもグッチにはそのズレがないというか。だからなのか、グッチの時計を評価する時計関係者、すごく多いですね。


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