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常識に捕われないフリーダムマインド

安藤 エスカルの今の主流は色数を減らしたプリントの文字盤ですけど、それでもあれほどまでに発色が豊かで魅力的なのは、その大英断があってこそというわけですね。
広田 ファブリク・デュ・タンって本当にすごい工房で、ジェラルド・ジェンタとかパテック フィリップで複雑時計を組んで仕事をしていたような人たちが興した工房だけれども、これほどの定石破りができているのは、ひとえにルイ・ヴィトンという自由な土壌からあるからだと思います。
ラグジュアリーブランドのスゴい時計【2】
「エスカル オトマティック タイムゾーン スペースクラフト」

宇宙からインスピレーションを得て誕生した「エスカル オトマティック タイムゾーン スペースクラフト」。/ルイ・ヴィトン
宇宙からインスピレーションを得て誕生した「エスカル オトマティック タイムゾーン スペースクラフト」。SS(ブラックPVD加工)ケース、39mm径、自動巻き。114万5000円/ルイ・ヴィトン 0120-00-1854
 安藤 トップレベルの時計職人が、専業メーカーではできなかったことを自由にやれるから、これまでにないまったく新しい時計が生まれているわけですか。ここにある新作の「エスカル オトマティック タイムゾーン スペースクラフト」も絶妙な色味でカッコいいなぁ。プリントだし、色数も少ないけど、図柄が細かいから普通のブランドはやりたがらないですよね。版ズレの可能性もあるし。
広田 やらないでしょうね。白とかシルバーという色を綺麗に落とし込むのは本当に難しいんですよ。特に白は透けやすいから、ある程度厚く塗らないといけないんですが、あまり厚くしちゃうと白だけ立体的になって変なことになる。

安藤 プリントって言っても、インクジェットみたないものとは違って、専用の機械を使って版画のように色をひとつひとつのせて行くんですもんね。
広田 そう。これだけ色をしっかり出すには相当手間がかかります。
安藤 その分コストもかかっている、と。最近でこそ文字盤にお金をかけるブランドが増えてきましたが、ルイ・ヴィトンはかなり早い段階からそこに注力している。
広田 文字盤だけじゃなくって、レザーバンドもさすがな感じですよね。このメタリック調の色味はほかにないです。
安藤 たとえほかにあったとしても、使ううちに色がすぐに落ちちゃいそうです。そこは革小物が本業ですから抜かりないんでしょうね。
青を基調としたケースバックも宇宙を彷彿とさせる。
広田 そういえば「タンブール」は最近、バンドを自分で替えられるようになりましたね。
安藤 バンドを簡単に替えられるのは、いま時計ブランドの流行のひとつ。独自性の強い時計を作るだけじゃなく、しっかりとトレンドも押さえているあたりが、さすがルイ・ヴィトンだと思います。というわけで、ルイ・ヴィトンは時刻表示の面白さと色の楽しさ。この2点に注目してみてください。
 
[問い合わせ]
ルイ・ヴィトン
0120-00-1854
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール、K18=18金、WG=ホワイトゴールド
関 竜太=写真 いなもあきこ=文


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