時器放談●マスターピースとされる名作時計の数々。そこから6本を厳選し、そのスゴさを腕時計界の2人の論客、広田雅将と安藤夏樹が言いたい放題、言葉で分解する。「ラグジュアリーブランド編」となる今回の2本目は、ルイ・ヴィトンの「エスカル」。
安藤 今回はルイ・ヴィトンの腕時計について語り合いたいと思います。と、その前に、広田さんの
その財布、ルイ・ヴィトンじゃないですか。確か前にカバンもお使いでしたよね?
広田 はい。「イカール」という一泊旅行に使えるサイズのを愛用しています。
安藤 立派なルイ・ヴィトンラバーですね。
広田 シガレットケースもすっごくいいんですよ。なぜだかすぐになくしちゃうんですけど。
安藤 酔って女性にプレゼントしちゃうんじゃなくって?(笑)
広田 いや、ほんとになくしたんです(汗)
安藤 その話は夜に酒でも呑みながらうかがうとして……ルイ・ヴィトンの時計にはどんな印象をお持ちですか?
広田 現在の時計に対しての評価は高いです。正直な話、「タンブール」が最初に出たころは、ケースの磨きも甘かったし、針も色がミュッとはみ出たりしていたんですけど、さすがにクラフツマンシップのある会社だけあって、すぐに改善されたんですよね。ハリー・ウィンストンで時計部門のトップだったハムディ・シャティが来たあたりから、ケースとか文字盤の出来がめちゃくちゃ良くなった。
安藤 ルイ・ヴィトンというと、デザイン先行の時計と思う人も多いですけど、実際のところは機械もハイレベルですよね。ちょうど10年前の2009年に発表された「スピン・タイム」なんかは、高い技術があってこそ誕生した時計。インデックス部分が12個のキューブになっていて、それが
ひとつずつ回転することで「時」を表すという複雑機構で話題になりました。当時は「時計専業ブランドじゃなくてもこんな時計が作れるんだ!」とびっくりしましたが、今はもう定番の
ひとつですよね。
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広田 確かにそうですね。
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