Watchの群像劇●ひと口に腕時計といっても十本十色の顔がある。それは歴史や外観、機構など多くの構成要素が複雑に絡み合うことで1本の腕時計が作られるからだ。本連載では腕時計が持っているさまざまな魅力を3つの視点からスポットライトを当てて紹介する。
今月の主役は「金の3針ドレスウォッチ」。時刻を伝える道具としての基本を遵守しつつ、不変の価値を持つ金に身を包む王道の時計だ。ここには登場する時計が繰り広げる群像劇がある。
腕時計はただそれだけでも美しい。しかし、それは腕に着けて初めて本来の存在感を主張する。そしてファッションとセッションすることで初めて自分らしく着けこなせるのだ。
PARMIGIANI FLEURIER
パルミジャーニ ・フルリエ/トリック カリテフルリエ
複雑時計の修復でその名を馳せた時計師ミシェル・パルミジャーニによるブランド。本作はそのデビュー作をモチーフにする。“円環”を意味するトリックのモデル名に従い、ベゼルにはその由来となった古代ギリシャ建築の柱基を思わせる丸みを帯びた2重のゴドロン装飾を備える。
そしてその間には、ローラーの刃で溝を削るローレット加工による、縞模様のモルタージュ装飾を刻む。ダイヤルにはライスグレイン(米粒)模様のギョーシェ装飾を施し、その審美性をいっそう高めた。またスイス時計の品質認証でも最高位のカリテフルリエを取得。
柔らかなゴールドの輝きがローゲージニットに映える
ボリューム感のあるタートルネックニットにリジッドデニムを合わせたブルーのワントーンコーデ。腕元には主役のゴールドウォッチが輝いている。メランジ調のニットと袖から覗くチェックシャツのブラウンが、馴染むようにゴールドと調和するのだ。さりげなく、嫌みなく。ヴァンズのオーセンティックを履いたこんな着こなしで、「金の3針ドレスウォッチ」を楽しめる大人ってカッコいいと思わない?
※本文中における素材の略称:K18=18金
川田有二=写真 菊池陽之介、石川英治=スタイリング yoboon(coccina)=ヘアメイク 柴田 充=文