15年前。まだ“エシカル”が聞きなれない言葉だった頃に、ラーン(Raan)とシェー(Shea)のパートン(Parton)兄弟は環境に優しいプロダクトを手掛けるブランド「アポリス(APOLIS)」を立ち上げた。
ブランドを有名にしたのはマーケットバッグ。環境に優しいジュート素材を使ったバッグは、バングラデシュで作られるフェアトレード製品であり、どこで誰がどう作ったのかを明確にするトレーサビリティなモノづくりを実践する。
まさに環境、社会、人に優しいバッグとともに「アポリス」は昨年、日本へ上陸。その担い手であるパートン兄弟に、2人のバックグラウンドとブランドについて話を聞いた。
パタゴニアに刺激され、老子の言葉に確信を得た兄弟
ーーまず最初に、「アポリス」のコンセプトはどうやって生まれたんですか?シェー 両親がチャリティ精神の旺盛な人だったことが理由かな。おかげで僕らも幼い頃から海外を含めたいろんな場所へ行き、“支援”という考え方に触れてきたんだ。言葉や通貨など国が変われば異なることはあるよね。でも、喜怒哀楽や家族を思う気持ちなど、変わらないこともある。人は同じなんだなと感じることがたくさんあったよ。それで、発展途上国の人たちをビジネスで支援したいと思うようになったんだ。
ラーン 本気でそう思ったタイミングは老子の言葉を知ったとき。それは「お腹を空かした人に魚を与えれば一日はしのげるけれど、魚の獲り方を教えればその人は一生食べることに困らない」というもので、バングラデシュの人たちに品質の良いバッグの作り方を教えて、そのバッグを僕らがより多くの国で売る。そうすれば作った人も僕らも、購入した人もみんなが喜べる。そんな関係を作りたいと思ったんだ。
ーーとても社会意識が強いけど、サンタバーバラ出身だからサーフィンはしてたでしょ?ラーン ハマってたね(笑)。学生時代はアマチュアの試合に出ていて、地元が一緒のプロサーファー、ボビー・マルチネスたちと一緒に遠征にも行ってたよ。
ーーサーフ体験は何か与えてくれた?ラーン パタゴニアの本社が隣街にあったことは大きかったな。僕らが生まれたときにはもうエコフレンドリーに企業活動をしていたし、90年代にはサーフィン分野にも進出してきたでしょ。より身近な存在になったんだよね。それに彼らは、ビジネスを展開する企業が持つべき環境意識のレベルを高めたと思うよ。2012年にはカリフォルニア州で初めて、環境や社会に対する“良い会社”の世界基準認証「Bコーポレーション」の一員になったし、彼らは僕らが目指す道標のひとつになっているんだ。僕らはパタゴニアの姿勢が好きだし商品も好き。小さい頃からフリースとかは着てたしね(笑)。
シェー 自分たちで積極的に旅へ出たきっかけのひとつもサーフィンだったな。波を目的にコスタリカやバリ、ハワイへ。でも、サーフトリップ先だけが僕らの旅の目的地ではなくて、もっと多くの国を見たくてインドやカンボジアといったアジア諸国、南米、アフリカにも行ったんだよね。
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