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水泳でオリンピックを諦めた学生時代

石川県七尾市で生まれ育った本田さん。海に囲まれた自然豊かな土地で、熱中したのは水泳だった。なんとインターハイ出場経験もあるという。
本田さん
「水泳が好きで、のめり込んでいくうちにインターハイまで出場していました。でも高校で進路を考えたとき、水泳というのはもうほとんど選択肢になかったですね。記録も伸びなかったし、インターハイに出たからこそ自分の中で心が折れてしまったんです」。
水泳で良い記録が出ず、思い悩んでいたその頃、必ず言われるフレーズが耳に残っていた。
「『調子が悪かったね』。記録が伸びなかった時期、よく周りからこんな言葉をかけられました。そうなだめられるうちに『そもそも調子って何だ?』と解明してやりたい気持ちになった。調子が悪い、をもっと具体的な言葉で説明できるようになったら、調子を克服するためのプログラムも作れるし、アスリートたちに貢献できるんじゃないかと思ったんです」。
悔しかった経験をもとに、本田さんは水泳選手としてではなく、大学でスポーツを研究しようと決める。
「それで大学の体育科に入学して、結局、卒論では『調子』を血液の粘度の観点から調べ、最適な水分補給方法につなげるというテーマを書きました。その日の粘り気が結果に影響するし、水分補給のタイミングも重要になる。それが調子の正体なのではないか。そんな内容だったと思います。アメリカの大学に留学もしました。英語を学びたかったし、もっと本格的にスポーツにも触れたかった」。
留学したのはシラキュース大学というバスケで全米ナンバーワンを取るようなスポーツ名門校。スポーツの本場で本田さんが最も感銘を受けたのは、「スポーツ」が大きなビジネスとして時代の流れを作っている点だった。
「大学スポーツですら、入場料や広告費、グッズ販売などひとつの産業として成り立っていたんです。アスリートに貢献するには肉体的な面しかないと思っていましたが、商業的サポートやビジネスに興味が湧きました」。


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