社会現象にもなった’90年代の古着ブームも今は昔。当時の雑誌には目の玉が飛び出るほど高いプライスが付いていたが、その価値や価格はどう変動したのだろうか?
日々ヴィンテージデニムに携わる原宿の人気古着ショップ「ベルベルジン」のデニムアドバイザーで、
「OCEANS DENIM CAMP」のトークショーにも登壇していただく藤原裕さんに最新のヴィンテージデニム事情を聞いた。
藤原 裕(ふじはらゆたか)●1977年、高知県生まれ。原宿の人気古着ショップ「ベルベルジン」のディレクターを務める。豊富なヴィンテージの知識をベースに、ヴィンテージデニムアドバイザーとして、他ブランドとのコラボなども行う。 2015年3月にリーバイスの501XXの歴史と51本のヴィンテージジーンズの写真や資料を収録した書籍『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』を上梓。──印象としてはブームが終焉を迎えて、さらにリーマンショックなどを経たことで価格が下がっているんじゃないかと、願望も含めて思うのですが。藤原 正直言って今の方が高いですね(笑)。古着ブームだった’95~’97年頃はレザーパッチモデルで、そこそこ色の濃いXX(ダブルエックス)
*1 が100万円、と高かった印象がありますが、当時はXXのヴィンテージをはいているだけでカッコいいと言われていた時代。
みんなが欲しがっていたレザーパッチモデルのXXはリアルに売れていたこともあって、それなりの値段が付いていました。ジーンズとしてデザインが完成された戦後のXXに対して、ワークウェアとしての要素が強い、戦前の古い年代のバックルバックモデル
*2 などは当時から希少性の高いヴィンテージとしては認識されていましたが、そこの年代のデニムを欲しがる層っていうのは、実はあまりいなかったんです。
*1 リーバイス最高峰の品番“501XX”の’50年代中期までのモノで、右後ろのパッチがレザー製だったモデル。激しい縮みや移染などの問題があり、のちに強度のある紙パッチに変更される。
*2 戦前のパンツを象徴するバックルバック(ベルトが普及する以前のディテール。サスペンダーで吊り、シンチでサイズを微調整した)モデル。第2次大戦の物資統制を機に廃止された。
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