OCEANS

SHARE


──当時の感覚を思い返してみると、バックルバックは確かにメジャーな存在ではありませんでしたね。情報量も今より少なかった?
藤原 深く掘り下げていく日本人マニアの方々が増えたおかげで、あの当時保有されていた情報に比べて、より細かく分類されるようになりました。
あのブームがあったからこそ出てきた未発見の現物、それを裏付ける当時のカタログや生産指示書などの紙資料……それらによって歴史が解明されたことで広範囲にわたってヴィンテージデニムの価値が見直され、日本人のヴィンテージデニムに対する造詣をさらに深化させました。
いまや戦前から20世紀初頭、はたまた19世紀末までヴィンテージの守備範囲は広がっています。

──価格の変動は、具体的にどれくらいの差がありましたか?
藤原 たとえば僕が扱ったなかでいちばんの高値を記録したのは、最近の話ですが「501XX」の1922年モデルのデットストックで750万円でした。それと同じものをあの80年代後半に買った方の話によると、400万円だったそうです。実に2倍近くに価値が上がってしまっているんですね。
──最近、藤原さんの露出が増えているじゃないですか。ということは、もしかしてヴィンテージデニムが今また盛り上がっている?
藤原 ズバリその通りだと思います。その要因は古着ブームの頃にこぞって買い求めていた方々が一回落ち着いて、当時は高くて買えなかった次の世代である僕らが30〜40代になった今、やっと買えるようなったというのが大きいでしょうね。
またXXの価値が高騰して、何本も所有することができなくなってしまった今、ファッションとして遊べる年代・コンディション・価格帯の「ビッグE *3」や「66 *4」が注目されていますね。
*3 1960年代後半~1973年頃のモノ。ヒップポケットに縫われた赤タブの“LEVI’S”の“E=イー”表記が大文字で、1973年以降は小文字の“e”表記となる。
*4 通称66(ロクロク)。セルヴィッジデニムを使った最後のヴィンテージと呼ばれる。一般的に’73年頃から前期、’78~’80年代中頃の後期に分類される。’66年製ではない。


3/3

次の記事を読み込んでいます。