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骨董品ではなく、毎日乗るもの

それから15年。今ではヴィンテージアメカジショップの有名店にまでUSを成長させた植村さん。

これまでも仕事で大量に載せる商品の運搬や、家族を乗せるためのバンやワゴンタイプの車は何台も乗り継いでおり、現在もダッジ・ラムを所有している。

ほかにも好きなバイクは買い足しているうちに5台になったが、15年前に買ったエルカミーノだけは、未だ手元に置き続けている。



「通勤はバイクのほうが楽、仕入れた荷物はダッジ・ラムで運搬したほうが便利」だけど、古着をクリーニングに出しに行くときや、三軒茶屋店と原宿店の往復など、なんだかんだで毎日1回は必ずエルカミーノに乗っている。

「この車はリクライニングしないから、ロングドライブはしないですね。毎日の足にしています。今乗ってるもう一台のダッジ・ラムは3年前に買ったのかな。その前はランクルの60に6年乗って、その前がタコマ、さらに前がシボレー・タホでしたね」。

それだけほかの車は乗り換えているのに、エルカミーノだけは手放さないのは何故だろうか。



「なんででしょう。最初にガッツリお金をかけたというのも大きいのかな」と笑う。当時約100万円で中古車屋から購入したこの車を、エンジンを載せ替えるなど、購入後すぐにあれこれ手を掛けたという。

「エンジンも6.2Lのホット・ロッド仕様に載せ替えました。速いっすよ。燃費は最悪ですけど(笑)」。

確かにかけたお金がほかの車とは違う。しかし裏を返せば、そこまでしたくなるほどの“愛”は、どこから来るのだろうか。

着古しても味がある服、錆びても味になる車

植村さんのエルカミーノは1966年(ロクロク、と植村さんは発音する)式。エルカミーノは1959年に登場後、長くて4年、下手すると1年という短いスパンでモデルチェンジを繰り返した。



「70年代中期から、プラスチックパーツが使われるようになったんですよ。プラスチックは劣化が激しくて、ちょっと古くなるとバリッと割れたり、風化したり。その点この車もそうですけど、それ以前のアメ車は外装もインテリアも鉄でできている。だからちゃんとメンテすればほとんど劣化しないんですよ」。

一般的に、新しいほど品質が良くなるものだが、なるほど、古いアメ車にはそういう味もあるようだ。そしてそこには、アメリカのヴィンテージウェアとの共通点もあるようで。

「着古しても味があるというか。ほかの服ではそう簡単に出ない味が、アメリカの古着にはあると思います。プラスチックは割れて無くなりますが、鉄は錆びてもそれが味になる。それと同じかもしれないですね」。



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