いい意味で普通のデニムと言えば、余計な加工も装飾もない濃紺と相場が決まっている。そんな慣れ親しんだ相棒の基本的な美点はそのままに、シルエットだけを変化をさせてみる。
ポイントとなるのはゆったりした腰回り、深めの股上、そしてテーパードが利いている点。それだけだ。デニムから遠ざかっていたことを後悔するほど、はくだけで最高に格好良く見えるのだ。その代表格がこのデニム!
「ベドウィン & ザ・ハートブレイカーズ」のサンダース
昨年の秋冬から展開し、新たな定番として認知されつつあるモデル「サンダース」。これはアメリカ西海岸のスケーターやサーファーなどをイメージし、1990年代に流行した名作バギーパンツをベースにアレンジしたもの。腰回りから太腿にかけてゆったりとさせながら、膝下からテーパードをかけてたシルエットが特徴だ。今シーズンは10.25オンスのコーデュラ・ストレッチデニムを採用し、動きやすさに加えて、耐久性もアップしている。ポイントはこの3点だ。
Point 1 腰がゆったりで楽だ週末、アクティブに動き回りたいときも、のんびり過ごしたいときも、腰回りの締め付けだけはご勘弁願いたい。ココがゆったりだと、ワガママな下っ腹も落ち着くのだ。
Point 2 股上が深くて安心だ下腹部も出てきたオーシャンズ世代に股上の浅いデニムはちょっとキビしい。僕らは昔からデニムは股上深めが好き。この深さに、我々も股間も安心感を覚えるのだ。
Point 3 脚が長く見えて得!膝から裾に向かってゆるやかに細くなっていくテーパードラインのおかげで脚を長くきれいに見せてくれる。シンプル・イズ・ザ・ベストな着こなしを信条とするからこそ、この効果がありがたい。
お気楽なコーディネイトすら新しく見せてしまうスゴさ白Tの上にカシミヤニット、そしてデニムとスニーカー。一見、何の変哲もない着こなしなのに、いつもとは違って見えません? その答えはもちろん、腰回りから腿にかけてゆとりがあり、膝下からシュッと細くなるワイドなテーパードシルエットのおかげなのだ。
特にサイドから見たときに顕著に現れるドレープに、嫌みのない個性も表れている。いつもの「普通」がこのように「ちょっと違う」だけでデニム姿が十分、いやとても新鮮に見えるのです。
2019年5月号の表紙に掲載したワイドテーパードデニムが大反響だったのですマーシーも購入したベドウィン & ザ・ハートブレイカーズのデニムもまたワイドテーパードなシルエットの「サンダース」。こちらはディレクター渡辺真史さんが愛用していたバギーパンツベースにテーパードさせて九分丈にアレンジ。普通に見えて「ちょっと違う」、これがまた最高なのだ。
谷田政史(CaNN)=写真(人物) 鈴木泰之=写真(静物) 菊池陽之介=スタイリング yoboon(coccina)=ヘアメイク 髙村将司、川瀬拓郎、いくら直幸、増山直樹=文