以前はシュプリームのデザインディレクターとして活躍し、2015年に自身のブランド、ノアのショップを立ち上げたブレンドン・バベンジンさん。ニューヨーク、ロンドンに続く旗艦店を原宿にオープンさせ、トレンドに左右されないベーシックアイテムを展開。
そのほとんどは、サステイナブルを意識して作られているのだ。なぜ、ストリート出身の彼がサステイナブルに目覚めたのだろうか?
「ノアはまだサステイナブルなブランドと呼べるほどじゃないよ」
元シュプリームという経歴で語られることが多い、ブレンドン・バベンジンさん。ストリートファッションにおいて不動の地位を確立したブランドで、華々しく活躍してきた男が、次なるステージで意識しているというのが、サステイナブルなものづくりだというから意外だ。
「周囲からは独立後も似たようなものづくりをしていくと思われていたよ。25年もの長い間ストリートブランドに関わってきたのだから、それは仕方がないよね。格好いい服であることは大前提だけど、今僕がやりたいことはトレンドの最先端を行くことじゃない。あくまでベーシックでグッドクオリティであることが最重要事項。原価を低く抑えて高く売るという、従来のやり方から抜け出したことは確かだよ。
僕にとってノアというブランドは自分自身でもある。だから責任あるビジネスをしなくてはならないし、さまざまな社会問題に対して真摯に向き合っていくことが、結果的に自分の人生を豊かにしてくれるということを信じているからね。でも、まだまだ発展途上の段階。自分たちはまだ“サステイナブルなブランドではない”と言い続けているのはそういうことなんだ」。
人目を引くロゴやグラフィックを求めるストリートファッションのファンにとって、サステイナブルであることに、関心を持ってもらうことができるかどうかに心配はないのか。
「買う側の意識が変わらない限り、似たような服を安く売る他のブランドを選ぶだろうね。だとするなら、自分が立ち上がって、今より少しでもマシな選択肢があることを、ノアを通じて訴えたいんだ。生産については、アイテムによってベストな素材と工場を吟味して、適正な工賃で取引している。
スウェットやカットソーはカナダ、ジャケットやコートはイタリア、デニムについてはアメリカの工場を選んでいる。いずれにしても、その工場でしかできないことを重視して、最もクオリティの高い商品開発を目指しているからね。
それから、廃棄物から生まれたリサイクルコットン100%のTシャツもメイド・イン・USA。こうした生産背景やコストについて発信し、まずは買い手に知ってもらうことが大事。そして、僕たちのこだわりを理解してくれる人と手をつないで、より良いプロダクトを作り続け、ブランドとして成長させていくことが僕のミッションなんだ」。
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