看板娘、登場
「お待たせしました〜」こちらは、裕子さん(44歳)。家電メーカーなどの勤務を経て、この食堂に嫁いできた。
「母が言うには、何事にも動じない子供だったと。私は覚えていないんですが、転校したての幼稚園の送迎バスの中で歌を披露したそうです(笑)」
フードの看板メニューは「いり豚」(580円)。生アジフライ(630円)とポテトサラダ(380円)も追加しよう。
役者が揃った。へべすは「幻の柑橘類」といわれるだけあって非常に香り高い。いり豚はもっちり、玉ねぎはしゃっきり、ポテサラはしっとり。そして、新鮮なアジが入ったときしか出さないという生アジフライも絶品だ。
3代目のご主人は厨房で寡黙に魚を捌く。大の競馬好きで夫婦で競馬場に足を運ぶこともあるという。
大井競馬場のナイトレース。そして、裕子さんの趣味は食べ歩き。最近感動したのは両国の「ふじ芳」という料理屋で食べたうずら鍋だそうだ。
「お肉はもちろん、お出汁も最高に美味しくて。水筒に入れて持ち帰りたかったぐらいです(笑)」
最後は雑炊で〆る。なお、食への執着がすごいという裕子さんは、占い師に「あなたには食神が3つ付いてる。これは相当珍しい」と言われた。
「高校時代は『Hanako』とかの特集に載っているお店に片っ端から行っていました。あ、ちょっと自慢していいですか? 私、素人蕎麦打ち検定の3段を持っているんです(笑)」
衣装にも手を抜かない。
本気の蕎麦切り包丁。
特製のへべす蕎麦も美味だったという。 3/3