知らなきゃ男が廃るが、知ってりゃ上がる。気にするべきは、顔のシワより脳のシワ。知的好奇心をあらゆる方向から刺激する、カルチャークロスインタビュー。
殺し屋へのインタビューや、犯罪組織も根城にするスラムの取材など危険な仕事をしてきた。新刊『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』にも「命に値段はつけられる」といった類いの物騒な言葉が並ぶ。
テレビ番組「クレイジージャーニー」(TBS系)では勇猛果敢に突き進む姿が見どころだ。視聴者は好奇心がくすぐられ目を離せなくなるのだが、それは丸山も同じ。彼を突き動かす原動力は知らない光景を「見てやろう」という気持ちなのである。
「やっていることは昔から同じなんです。高校時代に初めてひとり旅をしたときから現在まで、知らない世界を見たいから旅に出る。今はそれが仕事になっている感じですね」。
とはいえ、取材対象が独特すぎる。アンダーグラウンドの世界に詳しくなったきっかけは、20代でしていた新宿界隈での“通常とは違う” アルバイト。以降、26歳で初めて就職した出版社時代やフリー転向後も、裏社会や潜入取材を多く手掛けた。それにしても、一般社会のルールが通用しない現場で、なぜ動じないのか。
「プロの編集者や情報発信者として僕は後発です。既に活躍している同業の人に追いつき追い越すには圧倒的な物量をこなすしかない。そう考え、人が月に2本のインタビューをするなら僕は10本やる、年に30冊の単行本を企画する、という具合に誰よりも多くの量を課していた時期がありました。そうして多くの人と接するなかで、インタビューはケースバイケースだな、必勝法なんてないんだな、と思ったんです」。
取材対象者のいる場に入ったなら、まず場の空気を感じ取る。質問を投げ、返ってきた答えで相手の状態を掴む。現場で培った対人センサーは常人のクオリティをはるかに凌ぎ、場の変化にも柳のように対応する。
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