また、あまりに旺盛な好奇心から、奔放な文体で知られる伝説のジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのような人物かと思っていた。そう話を振ると、「あぁ」と言葉をこぼし、しばし思考を巡らせた。
「確かに、見てやろうという気持ちは一緒かもしれません。ただ、おこがましいので僕は旅や取材に対して内省はしません。あまり自分も出さない。そういう意味でジャーナリストではないんですよね。事実、僕は自分を旅人だと思っています。旅先で得た情報をたくさん持っている情報屋ということですね」。
好きな言葉は探検家・星野道夫による「さまざまな人と出会いながら、僕はいつも旅人だった」(※)。丸山はこれからも旅先で多くの出会いを経験し、ホームの日本へ戻ってくる。そして誰もが知らないような土産話で楽しませてくれるのだ。
※引用:小林誠子『ラストシーン 夢を追いかけ散っていった冒険者たちの物語』(バジリコ、2007年)
『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』 人が人を殺す理由は何なのか。世界中の危険地帯の取材を続けるなか、丸山ゴンザレスは日本人の常識とは相容れない考え方に出会ってきた。仕事だから作業のように人を殺す。金持ちからは奪っても良い。縄張りに入ったやつは排除する。教科書には決して載らない「危険思想」を自らの体を張って体系化した1冊。
PAK OK SUN(CUBE)=写真 小山内 隆=取材・文