“シンプル”と“そっけない”は紙一重。Tシャツ&デニムがバッチリ決まったと思っても、飾らなすぎだと「どこが?」とパートナーから一笑に付されることすらありうる。
ところが、「超名品」を投入したなら、答えは一目瞭然で大変身! シンプルすぎ、は考えものと心得よ。
名品パワーでシンプルアップな男へ
コレコレ! こういうこと! 品のある機械式腕時計やシンプルな白Tシャツからチラリと覗くベルトのブロンズバックル、あるいはダイヤ入りのチャームが付いた腕飾りに、ブラックのラバーバングルは……何だコレ?
兎にも角にも、さりげないのに品を生むのがシンプルアップの極意。その細かな処方箋はコレだ!
「パテック フィリップ」の腕時計ノーチラス。時計ツウでなくとも知っているだろう、海時計の究極的存在だ。かの有名な潜水艦がその名の由来であるうえに、「舷窓」から着想を得た八角形ベゼルや高防水性能など、理由はいくらでもある。とりわけ今年の新作である年次カレンダーのブルーは奥ゆかしい。
1976年登場のオリジナルモデルに着想を得た文字盤の深いブルーには、周辺に向けて色が濃くなる独自のグラデーション装飾が施されている。眺めているだけで、「舷窓」から覗く深海は、こんな色なのだろうか。と、ロマンティシズムまでくすぐられる。海時計の究極を入り口に、さらなる腕時計愛の深みにもハマっていきそう?
「フレッド」のブレスレット10年前の自分なら、もしかすると見向きもしなかったかもしれない。それは、ダイヤモンドセッティングのジュエリーなんて、ちょっとチャラいような気もしたからだ。でも、今は違う。白髪も交じり、シワも増えた風体には、むしろ「スイカに塩」のごとく自分の魅力を高めてくれそうな気さえする。しかもそれが、名作「フォース10」ならば、言うに及ばず。
ヨットをポートへとつなぎ留めるシャックルをモチーフとしたチャームにも惹かれるし、水際のエマージェンシーカラーを彷彿させるネオンカラーのコードも、今新鮮。水面のように煌めくダイヤモンドチャームとともに、日焼けした(少しシミのある)肌にもしっくりくるはずだ。
「ランドローバー」のアクティビティキーこやつを、新手のエンパワー系ブレスレットだと思ったら大間違い。ラグジュアリーSUV界において常に高い人気を保っているランドローバーで一部採用されている車の鍵=「アクティビティキー」である。
ラバーで覆われている見た目からも想像がつくとおり、防水性や耐衝撃性を備えているため、腕に装着しながらリアルに海のアクティビティを楽しむことができるというわけ。腕時計のようなピンバックル式で留められており、外れる心配も無用。さすがに、本体は身に着けられないが、こんなキーならアクセサリーにできるという裏技も。
平井敬治=写真 坂井辰翁=スタイリング TAKAI=ヘアメイク 髙村将司、いくら直幸=文