連載「ベストショットは父が撮る!」
残しておきたい我が子の成長。写真館に行ったり、カメラマンに頼んだりしてもいいが、やはり家族に向ける笑顔が最上。ならばいちばん身近な父こそカメラを持ち、シャッターチャンスを狙おうではないか!
前回、カメラを構える際に大切なことは「子供目線」だと学んだ二児のオトーチャン・野尻 巌(のじり いわお)さん。今回は、本格カメラを手にしたならマスターしたい「光の操り方」をカメラマンの吉澤健太さんに学んでいこう。
光を操るとは、具体的にどんなことができるようになるのか。まずは、野尻さんが撮影した2枚の写真を見比べてみよう。
似たような構図の2枚だが、多くの人が2枚目の写真のほうが美しいと感じるだろう。子供に光を当て、背景をボカすことで余計なものがカットされるので、表情もより引き立っている。
2枚目のように光の加減が美しい写真を撮るには、難しいテクニックが必要なのでは? と思いがちだが、実はそんなことはない。
「『絞り』を調整することで光の加減をコントロールできるので、多彩な表現ができるようになるんです」と吉澤さん。これはぜひ身につけたい!
「オートモード」を「絞り優先モード」へ
レンズに入る光量をコントロールする
絞りを自分で調節するには、まずは「オートモード」から「絞り優先(A/Av)モード」に切り替えよう。
そもそも絞りとは、レンズにどれくらいの光を取り入れるか調整するためのもの。絞りを調節すると、レンズが人間の瞳孔のように閉じたり開いたりする。
絞り優先モードは、この絞りの調節はマニュアルで行えるようにする一方、シャッタースピードはカメラ任せ。いわばステップアップ版といえる”半自動”モードのこと。いいポイントはマニュアルモードだと明るさの操作が難しいが、このモードなら自動で明るさを調整してくれるのだ。
そして、その絞りの値を表すのがレンズに記載された数字である。この値は「F値」という。
F値と光の関係を、吉澤さんにレクチャーいただくと……。
「F値が小さいほど光を取り込む量が多くなり、F値が大きいほど光を取り込む量が少なくなるんです。どういう効果になるかといえば、F値を小さく設定するとボケの範囲が大きくなり、明るい写真が撮れるように。逆にF値を大きくすると被写体と背景にピントが合うのが特徴です」。
むむむ……わかったような、わからないような……。
結局どうすればいいのか、実際に撮影をしながら教えてもらうことに。
「なるほど。子供の表情にフォーカスしたい場合はF値を小さく設定するといいんですね」と野尻さん。
「逆に会場の様子など、全体像を説明するようなカットが撮りたいときは、F値を大きくするといいのか!」と絞りをマスターした模様。
こんな印象的な写真の撮影にも成功した(どちらもF値=5で撮影)。
カメラ実践編2
何気ない手元のカットもプロのような仕上がりに。周囲がいい感じにボケている。
「なるべく全体をはっきりと見せたいとき」はF値を大きくし、「子供の表情やフォーカスしたい対象があるとき」はF値を小さくすると効果的。今回の野尻さんもそうだったが、近いもの・遠いものをたくさん撮影することで、出したい印象に合わせたF値の調整が身についていくはずだ。
2/2