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面倒くさい仕事だから、夢中になれる

そうやって、流れのままに独立してはや15年。40代に入って、仕事にも生活にもぐっと、ゆとりが持てるようになったという。
原直樹
「最初思い描いていた働き方にどんどん近づいている感覚はあります。理想の住まいづくりを提案するっていうのは設計や工事だけには留まらないので、お客さんとの関わり方も増えていくのが楽しいですね」。
住む人の思いが詰まった自由度の高い家づくりを目指し、原さんは一つひとつの仕事と丁寧に向き合っている。家づくりの際は、お客さんが納得いくまでじっくりヒアリングを重ね、主体的に参加してもらう。手をかければかけるほど家に愛着がわくと原さんは考える。
「家って、ただ寝て、食事するだけの場所じゃない。ライフスタイルの根幹になるものじゃないですか。だから家を自由にデザインすることは生き方にも繋がることだと思っています」。
自身の住まいも、自由に手を加えたリノベーションハウスだ。
原さんのご自宅
原さんの自宅のリビング。
「昔、賃貸に住んでいて自由に家をいじれないことがすごくストレスだったんですよ。とにかくいじり倒したくて(笑)。今、やっているDIYスタジオの貸し出しも含めて、そもそも出発点はすべて自分がやりたいことをやっているだけなんですよね」。
そんな原さんの仕事は効率性とは無縁だという。同じようなものを作っていけば量産はできるが、原さんの目指す生き方は効率や生産性とは別のところにあるようだ。
「最初からラクなほうを……なんて考えてないですね。だいたい気づいたら大変なほうを選んでいる(笑)。でももう答えが決まってるパズルで遊んでも、自分が面白くないじゃないですか。面倒で複雑だから、夢中になるわけで。DIYだって、既製品を買ったほうがラクだけど、時間をかけて作った家具が生活のなかにあるほうが面白いって思う」。
40代に突入してもモチベーションを保ち続けられる秘訣は、ラクなほうに流されないから。面倒くささを楽しめるからこそ、今でも原さんは目の前の仕事に夢中になっている。
「好きなことだからできているだけですよ。嫌なことからは逃げ続けてますから。ただ、仕事は好きだけど縛られたくはないですね。1日6時間労働にできたら一番いいんですけど……ヨガも行きたいし(笑)」。


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