生誕20周年を迎えたビームス プラスが、自らの歴史を振り返るドキュメンタリー映像『What is BEAMS PLUS?』を公開した。
結論から言えば、このムービーには一見以上の価値がある。オーシャンズ世代のアメカジ&アメトラ好きであれば、ビームス プラスとともにファッションを楽しんでこれたことを誇りに思うはずだ。
「男の服はダメになる」。1999年のビームスが思ったこと。
「このままだと男の服はダメになる」。
これは、ムービーに出てくるビームス代表取締役・設楽 洋の言葉だ。時はファッションシーンが裏原ブームに席巻されていた1999年。設楽は「アメリカの黄金期を表現する」をコンセプトにビームス プラスを立ち上げ、“21世紀対応型のアメリカンクラシック”を打ち出した。
セレクトショップでありながら、オープン当時はラインナップの8割をオリジナルアイテムで揃えたビームス プラス。当時のスタッフは「服のバイイングはできるが、服の作り方はわからない」状態。それでも試行錯誤を繰り返し、プロダクトのクオリティをひたむきに向上させ続けた。
世界的なアメトラの復権、2004年の転機。
追い風が吹いたのは2004年頃。トム・ブラウン、エンジニアド ガーメンツ、バンド オブ アウトサイダーズといったブランドが提案する新しいアメリカントラディショナルが世界的トレンドに躍り出る。この風にビームス プラスは乗り、世界から注目を集めるようになる。
ニューヨークの高級百貨店「バーグドルフ・グッドマン」のファッションディレクターは、こう賛辞を送る。
「アメリカのファッションをベースにしつつ、現代的な解釈を加え続けられる企業はとても少ない。それができなきゃただ古くさいだけなんだけど、ビームス プラスは違う」。
この他にも収められた、オールデン、ローイングブレザーズ、アルズアタイア、ウールリッチなど世界のトップブランドのキーマンたちによる賛美の声。アメリカブランドよりもアメリカらしいビームス プラスはこうして、セレクトショップのオリジナルから1つの“ブランド”へと進化したのだ。
ビームス プラス20周年記念のコラボアイテムがスゴい。
ビームス プラスの二十歳のお祝い。そのために用意された、20周年記念のコラボアイテムもやっぱりスゴい。
【1】ありそうでなかったイージータキシードエンジニアド ガーメンツへ型から別注したタキシード……いや、イージータキシード。コットンボディにサテンのラペル、ゆったりシルエットの側章パンツにはドローコードが付き、シャツはウイングカラー風の洗いざらし。とにかくリラックスした一張羅。これで結婚式などのセレモニーに出席したら洒落てるな。コットンのほかウールも用意。写真はコットン。
【2】ハワイのアロハ専門家にクレイジー別注かつてパタゴニアでアロハシャツのディレクターも務めていたハワイ在住のデール・ホープさん。彼とのコラボは今じゃ夏のビームス プラスの定番となっているが、今季は、過去にコラボしたファブリックをクレイジーパターンに仕立てたスペシャルピースだ。
【3】架空のヨットクラブをブレザーの名門と「ブレザーの原点を辿る」というコンセプトを持つニューヨークブランド、ローイングブレザーズとは、クラシックヨットクラブをイメージしたカプセルコレクションを作成。袖口を赤とライムグリーンでパイピングしたブレザーや国際信号旗をモチーフにデザイン。スニーカーはスペリー・トップサイダーとのトリプルネームによるデッキスニーカー。このために作られた旗のワッペンもイカす。
東京のど真ん中でオーセンティックなアメカジスタイルを築き上げたビームス プラス。20年の歴史を重ね、そのモノづくりに賭ける情熱はますます高まるばかり。次の10年も今から楽しみである。