家族が喜ぶスーパー“ファミリー”カー
スーパーカーはファミリーカーになる得るか? 答えはYESである。乗れば家族で過ごす時間すらスーパーになる、スーパー“ファミリー”カーを紹介しよう。
ファッションでも車でも長い間愛され続ける、いわゆるロングセラーになるにはそれなりのワケがある。
なかには登場から何十年と経った今なお自国の販売台数ランキングで上位、なんていうロングかつベストセラーな車もある。
自国民に長く愛され、今なお世界で売れっ子。そんな世界のスーパースタンダードなファミリーカーには、どんな愛される理由があるのだろう?
名実共に“国民車”
[ドイツ]フォルクスワーゲン ゴルフ
そもそも社名のフォルクスワーゲン(Volkswagen)が「国民車」という意味。そんな同社が最初に放った世界的ヒット車がビートルで、その跡を継いだのがこのゴルフだ。
1974年に登場した初代から数えて現行型で7代目。2018年のドイツ国内の販売台数もトップと、しっかり国民から愛され続けている。また新型が出るたびに海外のメーカーがそれを分解して研究したと言われるほど、このクラスの「世界水準器」でもある。
モデルチェンジの度に世界のトップランナーとして話題になれば、そりゃ自国民車として誇りに思えるし、乗りたくなる。
国土が広いとファミリーカーもデカい
[アメリカ]フォード F-150
アメリカは国土がとにかく広い。日本の約25倍もあるから「近所のスーパーへ行く」といっても大変だ。
てわけで週一の買い出しがラクな大型のピックアップトラックが売れている。中でも1948年登場のFシリーズは現行型で13代目のロングセラー。2018年はアメリカ国内の販売台数1位だ。
人気の秘密は荷台の長さや内装のグレード、パッケージオプションなどがたくさんあって選びやすいことにある。同じくアメリカで人気のSUVで、アメリカ国内トップである
トヨタ RAV4の約2倍の販売台数というダントツの数字からも、人気のほどが伺える。
フランス車の“市民革命”
[フランス]ルノー クリオ(日本名はルーテシア)
ホンダが商標を持っていたため、日本では本名を名乗れなかったクリオ。1972年に登場した祖先の「5」(サンク)は、それまで2ドアが主流だったフランスで5ドアを採用。当時急速に増えていた核家族のファミリー層に大ウケし、瞬く間にベストセラーとなった。スタイルにうるさいフランス人も納得のこだわった内外装デザインも人気に火がついた理由のようだ。
その後シュペール5、そして1990年にクリオと名を変えたが、今でもフランスでは毎年のように販売台数トップに輝いている。
ジウジアーロの「小さくて安くて使える車」
[イタリア]フィアット パンダ
プロダクトデザイナーの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが「小さいけれど実用的で、しかも安い!」という大衆車のツボを押さえてデザインした名車が初代パンダ。
500(チンクエチェント)がパーソナルカーだったのに対し、1980年に登場したパンダは家族も荷物もタップリ載せ、狭い道もグイグイ走ると大ヒット。以来庶民の日常の足として約40年も愛され続けているベストセラーになった。
四角い初代と比べて丸くなった現行型でも、小さい・実用的・安いというパンダの哲学がイタリア人に長く受け入れられているようだ。
ずっとイギリス生産を続ける英国車の代名詞
[イギリス]ミニ
1959年に登場したミニは大衆だけでなく、ポールマッカートニーやエリザベス女王も魅了。そんなスターを芸能界も放っておかず、映画『ミニミニ大作戦』や人気TVドラマ『Mr.ビーン』にもアイコンとして登場したイギリスの国民的アイドルだ。
工場は現在もイギリス国内にあり、今でも同国の販売台数でトップ10内をキープ。ちなみに日本ではここ2年連続で輸入車販売台数のトップだ。
150カ国以上で販売される日本の「ザ・大衆車」
[日本]トヨタ カローラ
長らく、日本のベストセラーと言えばカローラだった。1966年に登場すると高度経済成長期のファミリーにこぞって買い求められ、やがて世界中でも販売されるように。
2005年には史上初の販売台数3000万台を達成してギネスにも登録されている。2018年末時点では世界150カ国以上で販売され、累計販売台数は4300万台以上。まさに世界の「ザ・大衆車」なのだ。
セダンだけでなくワゴンやハッチバック、さらにハイブリッドモデルなどバリエーションを増やしたことで、登場から50年以上経った今でも国内の年間販売台数ベスト10に入る人気ぶりだ。
自国で、そして世界中で愛され続けているスーパースタンダードなファミリーカー。メーカーや形は違えど、共通しているのはどの車も人気に甘んじず進化を続けているところ。妻や家族に愛されて数十年目のオトーチャンたちも、その心意気を見習いたい。
籠島康弘=文