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2019.03.15

車好き必見の「制限があるほど燃えるタイプ」な珍車軽ヒストリー

軽んずべからず「軽自動車」
日本が世界に誇るマイクロカー「軽自動車」。普通車なみの機能を持ってバリエーションも豊富、しかも何かと遊べる要素も満載で、国内の新車販売台数の約4割が軽自動車という事実もある。決して軽んじちゃいけない「軽自動車」の魅力にズームイン!
人は制約があるほど燃える。サイズや排気量が決められている軽自動車の中には、まさにそんなチャレンジ精神が溢れ出た車が多い。
似たものになりがちだからこそ、ほかにはない特徴を必死に追い求めた結果が産んだ、独特な軽自動車たちの進化の歴史を、前・後編で紹介する。
前編は年代別に、試行錯誤の歴史を追いかけよう。
 

スズキ・キャリイ(1969年〜)
「ジウジアーロさん、どちらが前ですか?」

えっと……どちらが前ですか?「スズキ キャリイ」
フォルクスワーゲン・ゴルフやフィアット・パンダなど数々の名車をデザインしてきた有名デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたスズキの軽ワンボックスカー。
真横から見ると左右対称で、どっちが前かわからない!? 元々は荷物を載せるための商用車なのだが、こんな唯一無二の可愛いデザインなら、自家用車として乗りたくなる。
 

フィアット・126(1973年〜)
「1年だけ軽になりました」


軽自動車にはさまざまな制約があるが、この制約内に偶然収まってしまい、日本で軽自動車登録することができた輸入車が、たまにある。現行型ではケータハム・セブン160Sがそれにあたるが、1973年からマイナーチェンジを繰り返しながら2000年まで製造されたフィアット・126もその一例。
軽自動車規格の変更と126の仕様変更によって、1999年〜2000年に製造されたものだけ軽自動車登録が可能になった非常に珍しいケース。黄色いナンバーが似合うかどうかは別にして、カブりやすい軽自動車において、人とカブらない確率は最高峰だろう。
 

スズキ・マイティボーイ(1983年〜)
「一応、ピックアップトラックです」

後ろをぶった切ってピックアップに「スズキ マイティボーイ」
2ドアの軽自動車セルボの後ろをぶった切って、車種としてはピックアップトラックを作ったぶっ飛んだコンセプト。
とはいえ、世界に(?)類を見ないそのフォルムに今もなおファンが多く、後継車が出るのではという噂も絶えない。トラックと考えたら、軽トラと違いシートはたっぷりリクライニングできるし、荷台は2人分の道具を投げ込んで遊びに出かけるには十分。間違いなくこの車だけの楽しさがある軽自動車だ。
 

スバル・ヴィヴィオ タルガトップ(1993年)
「軽で、オープンで、4人乗り!?」


1993年に富士重工業(現在のスバル)が3000台限定で販売した、4人乗りの軽オープンカー。大人が後席に座るのはかなり厳しいが4人乗り。ルーフを外せるほか、リアウインドウはボディ内に格納できる。
ホンダ・S660やダイハツ・コペンなど軽のオープンカーはあれど、4人乗れる軽自動車のオープンカーは極めて希少なモデル。小さな車体に、夢がギュウギュウ気味に詰め込まれているのだ。
 

スズキ・ツイン ハイブリッド(2003年〜)
「早すぎた? 大人のオモチャ」

軽初のハイブリッドカーだったけど……「スズキ ツイン ハイブリッド」
2人乗りのシティコミューターで、全幅1475mm、全長1800mmとチョロQを実車にしたようなスズキ・ツイン。当時の市販車で最も安かったガソリン仕様車と、市販の軽自動車としては初めてとなるハイブリッド仕様車を用意するなど先進的な軽自動車でもあった。
細い道でも難なく入れ、キビキビ動いて運転も楽しい。しかしわずか2年ほどで生産終了に。小型のシティコミューターが陽の目を見る今、このチョロQは少し早(速)すぎたのか?
 
どれも見ているだけで楽しいし、乗っても楽しいに決まってる。制限だらけの軽自動車でも、その面白さは無制限なことを、歴史が証明してくれているのだ。
後編は、重すぎる想いを乗せて作られたクセモノ軽自動車。さらなる“軽”の珍車に迫る。

籠島康弘=文


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