日本酒は古くさい、なんて言うヤツが古くさい今の時代。以前、オーシャンズでも
キャンプで飲みたくなる日本酒や、従来の酒屋のイメージを打ち砕く
ネオ角打ちを紹介した。
オッサンの舌を楽しませ続ける日本酒だが、ムーブメントはついにAI分野にも及んでいる。それが、自分好みのお酒をアプリと店舗が一体となって紹介してくれるプロジェクト「YUMMY SAKE」だ。長年お酒を飲みながら、意外に辛口・甘口程度の好みしかわからない人は多いはず。テクノロジーがどんな体験をさせてくれるのかを試してみた。
黒を基調とした上質な空間に、90種類以上の日本酒がズラリ
訪れたのは、代官山駅から渋谷方面に徒歩3分ほどの場所にある「YUMMY SAKE Collective DAIKANYAMA」。じつはここ、以前”ネオ角打ち”として紹介した「
未来日本酒店DAIKANYAMA」が刷新してできたお店である。
以前訪れたときとはテイストの異なる、都会的かつ洗練された装いで我々を迎えてくれた。店内も期待を裏切らず、しっとりと大人っぽい雰囲気。入るとテイスティングができるバーカウンターが伸びる。
常時90種類の日本酒が揃い、味わうことも購入することも可能。目移りしてしまうこと請け合いだが、そんな心配は無用らしい。なぜなら、アプリを使ったテイスティングを行うだけで、好みの日本酒を教えてくれるからだ。
たった10分間でわかる、自分好みの日本酒ジャンル
まずは手順が記されたシートのQRコードを読み取り、スマホアプリで会員登録。シートによれば、プロフィール登録、テイスティングを行えば、すぐに診断結果が出るという。
「01」から「10」までひとつずつ個性の異なる10種類の日本酒をテイスティング。辛口、甘口、濁り酒、発泡酒まで揃っている。
一杯飲むごとに水を飲んで舌をリセット。スマホアプリで「好きではない」から「おいしい」までの5段階で評価する。利き酒のようで正直コレだけでも十分楽しい。10種類を完了したら、すぐに日本酒の好みが示された。
「あなたのYummyタイプは…『Puri Puriプリプリ』」。甘口、辛口という概念がカケラもない! と一瞬驚くが、なんとなく感覚的な表現がまた楽しい。「プリプリ」とは“香りは控えめながらも、飲んだ瞬間にぷりっと弾けるお酒のインパクト”とのこと。タイプは12種類あり、「スルスル」「シャラシャラ」「ビュンビュン」など。いずれもタイプ名だけで試したくなるネーミングだ。
そして、“Yummyタイプ”に合わせた日本酒もレコメンドしてくれる。油長酒造の「風の森 ALPHA TYPE1」。調べてみると、無濾過生原酒にこだわる奈良県の蔵元が提供する日本酒なのだとか。どんなお酒かわからないが、ちょっと気になる存在。
店内で自分の“Yummyタイプ”の日本酒も頂ける
もちろん、店内にも12タイプそれぞれの日本酒を取り揃えている。「プリプリ」は、あっさりとした印象ながら、重層的な余韻が心地いいふくよかな一杯。たしかに舌になじむ味わいで、思わず「テクノロジーもここまで来たか!」と唸ってしまった。
今回は代官山の店舗を訪れたが、系列店である「未来日本酒店 KICHIJOJI」でもテイスティングを実施中。どちらかの店舗で行えば、アプリはそのまま利用できるようになり、提携店舗でもタイプ診断されたオノマトペで注文できる。
体験しながら、スマホアプリが好みを教えてくれる「YUMMY SAKE」。あくまで実際にテイスティングを行った会員限定のサービスだが、その特別感もまた楽しい。体験とAIを組み合わせたプロジェクトは、これからのひとつのムーブメントの予感がする。先物買いが好きな人は、ぜひ足を向けて損はないお店と言えるだろう。
【問い合わせ】 YUMMY SAKE Collective DAIKANYAMA 住所:東京都渋谷区代官山町14-11 電話番号:03-6312-2448 営業:平日17:00~24:00 休祝日14:00~24:00 定休日:年末年始のみwww.yummysakecollective.jp澤田聖司=撮影 芋川健=文