看板娘という名の愉悦 Vol.52
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
飲食店にとって店の名前は非常に重要だ。例えば、「傷ついたダンサーが集まるBAR」という看板を見かけたら、そう、入らざるを得ないだろう。
傷ついたダンサーが夜な夜な集まって、踊ったりお酒を飲んだりしているという色っぽい光景が脳裏に浮かぶ。入り口のドアを開けると、看板娘がカウンターの中で働いていた。
席に着いてドリンクメニューをチェックする。
ふと閃いた。せっかくなので「オーシャンズ」というカクテルを作ってもらおう。看板娘にそうオーダーすると、「えっ、無茶振りですね」と戸惑いながらもチャレンジしてくれた。
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