円運動をする指針に対し、本来時計は丸形が違和感なく馴染むのだろう。それでもウォッチメーカーは角形の文字盤や、異形のケースで多彩な個性を競う。そこからは同調圧力も跳ね返し、常識や既成概念にとらわれない自由な感性が伝わってくる。
だがいずれもその個性は、確固としたデザインコンセプトや手のかかった製造プロセス、あるいは研ぎ澄まされた機能美などに裏付けられることで、強い意志が貫かれるのだ。
BVLGARI
ブルガリ/オクト フィニッシモ オートマティック サンドブラスト
シャープな角は強い意志を、包み込む円は融和をブランドのアイコンとなったオクトは、複雑と単純、精密と感性といった対照性を円と角の融合で表現する。この個性を超薄型ケースがさらに際立たせ、独創のスタイルと技術が見事にエレガンスへと昇華したのだ。
2014年に登場した手巻きをベースにマイクロローターを搭載し、薄さを損なうことなく自動巻き化。薄さの追求はブレスレットも例外ではなく、そこにジュエラーとして培われた技術と審美性が見て取れる。大理石のような美麗な白を表現するため、SS表面にサンドブラスト仕上げを施す。
HAMILTON
ハミルトン/ベンチュラ
電池式時計の先駆けとなった愛され続けるマスターピース世界初の電池式腕時計として1957年に誕生した「ベンチュラ」は、革新性をアピールするため、当時の最先端デザインを纏った。担当したのはフューチャーデザインで一世を風靡したインダストリアルデザイナーのリチャード・アービブ。本作は初代の文字盤デザインを踏襲しつつ、愛用者のエルヴィス・プレスリーがカスタマイズしたことでも有名なフレックスベルトを合わせる。
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