「好き」を仕事にするために、まずは自分の意志を尊重する
自分の「やりたいこと」にフォーカスして、それ以外には一切手を出さない。いつか誰かが見つけてくれるという期待は捨て、自分から行動する。そんな浅野さんが「ヨガ」を仕事にしたいと思えた決め手は、自身の“好き”という感情に素直になったからだった。
「最初はこれを仕事にしようっていうよりは、自分が精神的にも肉体的にも恩恵があったから、家族や友人に伝えたいっていうのがスタート。単純に好きなことを広めていきたいっていう気持ちで始めたら、うまくいったんです」。
「好き」を仕事にすることに対しては、賛否両論ある。仕事とはお金を稼ぐ生活のための手段でしかないという意見もあるだろうし、好きなことは趣味の範囲に留めておきたいという人もいる。
「僕らの親の世代は、好きを仕事にできない世代だった。自分が仕事辞めてこういうことをやろうと思うんだ、と話したら、『仕事は我慢してやるものでしょ』って親にも言われました。でも働き方も変わってきて、僕はこれからは意志だったり情熱だったりが大事になっていく時代なのかなと思います」。
浅野さんは迷ったとき、自身の“ハート”の部分をいちばん大事にしているのだという。
「僕の経験則だと、頭でっかちに考えすぎるとうまくいかない。次のステップに行かないんです。まず大事にしたいのは意志、感情の部分。その次に頭で考えて、最後に行動する」。
販売員時代、「好き」の力でトップになれたように、打算なしの素直な接客や動機に人の感情は揺さぶられる。お金になりそう、という打算的な気持ちだけでスタートしても、人の共感は得にくいだろう。自分の感情を大事にする。それが成功の秘訣なのかもしれない。
「よくヨガの生徒さんに、今なにがほしいですか? って聞くと、時間っていう方が多い。でもじゃあ時間があったら何をしたいですか? と聞くと、ハッキリ答えられる人は少ないんです。自分が本当はなにが好きで、どんな生活を送りたいのか、意識できるような人生を送れたら少し幸せに近づけるんじゃないかなって僕は思っています」。
「好き」を仕事にした浅野さんは、幸せに向かって、着実に一歩ずつ近づいているように見えた。
取材・文=藤野ゆり(清談社)