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2018.12.23

時計

【中編】名工たちが込めた想いや情熱を感じる。匠の技とツナガル時計

名工たちの技術に彩られた時計は、単にヴィジュアル上の美観を備えているだけではないと思う。その技術が確立するまでに連綿と紡がれてきた長い時間と、作品のために注がれた情熱がないまぜになった温もりまでも感じていられる。前編に引き続き、今回は中編をお送りする。

JAQUET DROZ ジャケ・ドロー
ラブィング・バタフライ・オートマトン
ゼンマイで動く美しき“カラクリの世界”

K18WGケース、43mm径、自動巻き。1370万円/ジャケ・ドロー ブティック銀座 03-6254-7288
オートマタ=からくり人形を巧みに造形して、ユニークな美的世界を構築するジャケ・ドロー。時計表示を小さくし「プティ・ウール ミニット」のダイヤル余白に、専用の手巻きゼンマイの動力で、羽ばたく蝶が天使を引っ張るというからくりを配置。ブラックMOPの上に輝くホワイトゴールドの造形が、5cmに満たないダイヤル上に幻想的な世界を繰り広げている。
天使が乗るチャリオットを設置中!
繊細に造形されたホワイトゴールドの各パーツを、ブラックMOPの上に手作業で配置。3年かけて特許を取得した独自のオートマタメカニズムを搭載。3つの香箱の動力を用いて動く蝶は、2分間で約300回も羽ばたく。
 

SEIKO PRESAGE セイコー プレザージュ
SARW013
日本の伝統と技術を見事に調和させる美意識

SSケース、40.5mm径、自動巻き。13万円/セイコーウオッチ 0120-061-012
七宝や琺瑯など、日本の伝統工芸を駆使したダイヤルメイキングを得意とするプレザージュ。なかでも本作のダイヤルには、漆の技法が採用されている。加賀蒔絵を独自に発展させた漆芸家、田村一舟氏が手掛ける漆黒のダイヤルは、鏡面とヘアラインで仕上げられたエレガントなフォルムのSSケースと見事に調和。クラシカルなデザインにいっそうの風格を漂わせている。
日本の美意識をここに凝縮
金属プレートに、何十回と研ぎと塗りを繰り返したあとに、磨き・艶出しなどの各工程を経て仕上がる漆ダイヤルは、高度な技術はもちろん、全工程で約3週間も要する。
 

MORITZ GROSSMANN モリッツ・グロスマン
ベヌー37
針をニュアンスカラーに仕上げる高度な技術

K18WGケース、37mm径、手巻き。320万円/モリッツ・グロスマン・ジャパン 03-5615-8185
ドイツのグラスヒュッテで独自のウォッチメイキングを推進する気鋭は、針までも自社にて加工する数少ないマニュファクチュール。本作では木の葉型のスチール針を、ダイヤルの色調に合わせてブラウンバイオレットに仕上げている。この作業は温度調整が難しく、専門の職人の高い技術が必要になる。
 

HARRY WINSTON ハリー・ウィンストン
HW ミッドナイト・プレシャス
ウィービング オートマティック 42mm
繊細でラグジュアリーな和の「螺鈿織り」を世界へ

世界限定50本。K18WGケース、42.5mm径、自動巻き。330万円/ハリー・ウィンストン 0120-346-376
1970年代に日本の職人が考案した「螺鈿織り」に着目したのが、世界最高峰ジュエラーのハリー・ウィンストンだ。真珠母貝(MOP)を貼り付けた糸状の和紙を横糸に絹を縦糸に織り込む特殊な技法によって、唯一無二の輝きを腕元にもたらす。
 
※本文中における素材の略称は以下のとおり。
SS=ステンレススチール、K18=18金、WG=ホワイトゴールド
柴田 充、髙村将司、中村英俊、戸叶庸之=文


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