エルメスのさまざまな工房に若手アーティストたちが滞在し、滞在中に制作した作品を紹介する「アーティスト・レジデンシー展」。 Vol.2では5人のアーティストによる作品が展示される。 (C)Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermèsアメリカ出身のジェニファー・ヴィネガー・エイヴリーは、リヨンにあるシルクとテキスタイルの工房で、端切れ布や紙粘土、その他リサイクル品や廃棄物などを用いて、オリジナルのキャラクターを作りだした。 銀座メゾンエルメス フォーラム内にブティックのような空間を作り上げ作品を展示しているのだが、そのいくつかは実際に手に取り、身に着けることができる。また、毎日4時間、エイヴリー本人が会場に訪れパフォーマンスを実施予定。直接コミュニケーションをとることも可能だ。 色鮮やかなエイヴリーの作品世界は見ているだけでワクワクする。今回一押しのアーティストだ。
皮革の技術を身につけた2人のアーティストの作品の違いに注目
(C)Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermèsフランス出身のイオ・ブルガールは、鞘、計測用具、マスクなどを工房の上質な革で覆い隠し、サドルステッチを施して表現した。 滞在したスロンクールの皮革工房で皮革の扱いに必要なスキルを学び、職人たちに日常の作業の中で使う機会がなくなったステッチを再現してもらい、作品に活かしている。
(C)Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermèsフランス出身のルーシー・ピカンデは、パリとパンタンの皮革工房で、皮革加工の技術を身につけた。革の特性に向き合っていくうちに、色鮮やかな皮革で直径180cmの円形の中にデザインするという表現に至った。
アーティストにどんな化学反応が起きているのか、成果は会場で
(C)Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermèsベルギー出身のビアンカ・アルギモンは、リヨンのホールディングス・テキスタイル・エルメスに滞在し、シルクの専門技術を用いて作品を作りあげた。半透明のシルクモスリンに絵を描いて重ね合わせ、モネを思わせるような柔らかで繊細な色を紡ぎだしている。
(C)Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermèsギリシャ出身のアナスタシア・ドゥカは、イギリス・ノーサンプトンのジョン ロブに滞在した。このレジデンシープログラムが無ければ、彼女は英国製シューズの背景にある並外れた職人技に触れることはなかっただろう。 105名の従業員と靴に対する好みについて話し合い、それをもとに105足の革靴を職人の嗜好に合わせて制作した(今回はそのうち98足が展示されている)。一堂に並ぶ光景は圧巻、そして美しい。