「スパークリングワインを『アペロール』というハーブリキュールで割ったイタリアで人気のお酒です。要するにお酒をお酒で割っているので結構酔います」
もみじ色の洒落たカクテルを出してくれたのは、その名も小棚木もみじさん(24歳)。本名である。
「11月という紅葉の季節に生まれたのと、赤ちゃんの手ってもみじの葉っぱみたいだねーってなって『もみじ』と名付けたみたいです」
もみじさんは愛知県の蒲郡生まれで、地元の高校を卒業後に上京した。
リニューアルして面白さが増したそうで、帰省するたびに家族で訪れるという。
「東京で最初に住んだのは中央線の武蔵小金井。家賃2万8000円なのにお風呂もトイレもあったんですが、駅から遠いうえにアパートの前の畑の砂が大量に入ってくる部屋でした」
窓を閉めても隙間から入り込んでくるので、スポンジで塞いで窓の開閉は諦めたそうだ。その後、高円寺に引っ越して現在に至る。
「ヒマなときは家で『コジコジ』のアニメをずーっと観ています」と語る彼女は「
のっぺら」というバンドでギター・ボーカルを務めている。
「『のっぺら』は意味がないという意味。ゆらゆら帝国が好きなので、なんとなくそういう感じですね」
もみじさんの印象を店長に聞くと、「24歳にしてはすごく気が利きます。スタッフの動きもお客さんのこともよく見ているんですよ」。
「あ、でも失敗もしますよ。『卵を黄身と白身に分けて』と頼んだら、なぜか生卵をみじん切りの玉ねぎが入ったボウルにぶち込んだことがありました。二日酔いでぼーっとしてたみたいだけど、かわいいからみんな許しちゃう」
そう、もみじさんは大の酒好きなのだ。
「こないだ泥酔状態で恋人と大ゲンカしたんですが、怒りのあまり、彼の携帯番号の名前を『死神』に変えたみたいです。まったく覚えていないから、翌朝『死神』から電話がかかって来てびっくりしました」
鉄板ネタである。
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