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──相当、大きな影響を受けられたんですね。
平山「でも、決して暗い本じゃないですよ。この本は、ギターが弾けなくても、ギターに興味がなくても面白く読めます。逆にギターに興味を持つと思います。実は僕もこの本を読んで、十七男さん本人からギターを習いました。ビートルズの『ブラックバード』とエリック・クラプトンの『ティアーズインヘブン』を教えてもらって。コードは弾けないけど、その2曲だけは弾けます(笑)。
あと、十七男さんの生き様はすごく現実的で、突飛なことは何もない。でも、『憧れのギターを買う』というそのこだわりぬいた買い物の仕方が、僕にはすごく共感できます。お金があれば何でも買えちゃうけど、そういうことじゃなくて」。
──なるほど。
平山「話が脱線しますが、武道のひとつ『居合(いあい)』を僕はずっと習っています。やること自体も面白いんだけど、武道だから『段』がある。初段を取ったら、次の2段を取るためには1年の間を空けないといけない。2段から3段を取るには2年、4段を取るには3年を空ける。山ほど練習して『俺はもう3段いけるぞ』って言っても、試験を受けられないんですよ」。
──それは知りませんでした。
平山「『この技が出来ます。はい、じゃあ何段ですね』ではないんですよね。中身や真髄を、その間に自分なりに練って練って考えて、自分のものにしないと上がれない。技じゃない、やっぱり『道』なんですよ」。

──カタチばかりではなく「心持ち」も大事で、それは買い物にも共通する、と。
平山「だから、何でも買えてしまう時代にここまで考える十七男さんって男に僕は共感できる。まぁ、買った後にそれを使う時間が大事だってことに彼はようやく気づくんですけどね(笑)」。
──ユースケさんも、考えに考え抜いてから物を買ったりしますか?
平山「僕はクルマとかバイクがすごく好きで、買うときはかなりあちこち出向いて、実際に試乗し比べますね。 割と考えに考え抜く方だと思いますよ。基本、ネットでの買い物はできないかなぁ。服を買うにしても、 実際にそのモノを見たり袖を通さないとイヤなんです」。
──へぇ、そうなんですか。何に関してもですか?
平山「電動歯ブラシのヘッドくらいはネットで買いますよ(笑)。本もネットでは買いません。最近こそCDは買わなくなったけど、ついこの間まではタワーレコードに行って視聴して、ジャケットを手に取って、っていう買い方でした。そのモノに直接触れないと僕は判断ができない。そのモノが持つ何かがあるんですよね。僕はアナログなんですよ、完全に(笑)」。
 
いかがだっただろうか。全9回にわたった平山祐介の推薦図書シリーズも今回で一区切り。気になる本があれば、ぜひ手にとってみてほしい。きっとユースケさんも喜ぶはずだ。
 
清水健吾=写真 TAKAI=ヘアメイク ぎぎまき=取材・文


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