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2018.11.23

ライフ

平山祐介の推薦図書③ 仕事で迷ったときに開く中井貴一さんの『日記』

オーシャンズゆかりのモデルたちはどんな余暇を過ごしてる? 彼らの普段見えない部分を取材する企画の一人目は、俳優としても引っ張りだこの平山祐介さん。“本の虫”としても知られる彼に聞いた、オーシャンズ読者が絶対にハマる推薦図書とは?
平山祐介さんが人生で強く影響を受けた本として挙げるのは、自身がもっとも尊敬する俳優・中井貴一さんが書いた『日記「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録 』だ。内容は、中井さんが映画の撮影で訪れた中国での滞在日記だが、ユースケさんはこの一冊を人生の“参考書”のように大切にしているそう。 
ではさっそくその中身を語ってもらおう。

『日記「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録』
中井貴一・著/キネマ旬報社
中国映画『ヘブン・アンド・アース』に日本人として唯一参加した俳優・中井貴一の日記。日本の価値観や言葉も通じないなかで繰り広げられた、中国人スタッフらとの壮絶なドラマが綴られた、笑いや怒り、涙に満ちた渾身の記録。
──中井貴一さんは俳優として大先輩にあたる人ですよね。
平山「貴一さんは僕が共演させていただいたこともある、尊敬する先輩のおひとりで、常々、『貴一さんみたいな俳優になれたら』と思っている方です。
この本は昔、貴一さんが映画撮影のために訪れた中国滞在中の日々を綴ったもので、尊敬する貴一さんでも文句を言ったり迷ったり、これでいいのかって落ち込んだりすることがあるんだなって、ちょっと気が楽になったというか。あんなにすごい人でもこうなんだなっていう衝撃がありました」。
──中井さんのどういったところを尊敬しているんでしょう?
平山「貴一さんが演じられる人物はいつも、体温が感じられるというか、人間味が感じられる
というか、ちゃんとそこに“存在”してるんですよね。 こちらはその人物の過去から未来へ続く人生の一時を覗かせてもらってる、みたいな。その人物の人生に、ときにクスッとさせられ、ときにホロっとさせられる。
以前、何かの取材記事を拝見した際、確かそのときは歴史上の人物を演じられてたと思うんだけど、『その人物が“どう生きたか”ではなく“どう生きたかったのか”を考えてます』って話されてて。これにはハッとさせられました。
たくさんの資料から“どんな生き方をしたのか”をリサーチすることはあっても、“本当はこう生きたかったんじゃないのか”って発想を膨らますことに、自分は気付いてなかったなと。今後もチャンスがあったらご一緒させていただきたいですね」。
──この“日記”に共感する部分はありました?
平山「15年ほど前、映画『蒼き狼 地果て海尽きるまで』の撮影でモンゴルに2カ月ほど滞在したことがあって。現地スタッフと一緒に映画を作ったんですけど、そこでのドタバタ劇が、貴一さんの本で書かれている中国での話とすごく似ていたんですよ。
日本、中国、モンゴル、それぞれに仕事の価値観や制作進行のやり方がある。映画撮影における苦労話がすごくリンクしました。『あぁ、そうそう。こういうことあるある!』って、それが面白くて。海外で映画を作るってカッコいいイメージがあるかもしれないけど、大変なこともいっぱいあるんです。
未知の土地での発見や興奮がある一方で、未舗装の道をバスで5〜6時間も移動したり、何かと撮影環境も過酷です。価値観の違いから撮影中に現地スタッフとぶつかることだって多々ありますし」。
──この本から受けた影響は?
平山「貴一さんが仕事にどう携わっているのかも書かれている本だから、俳優として、モデルとして、僕が仕事に取り組むうえでお手本になっています。『自分の考え方は間違ってないな』とか『これは改めたほうがいいんだな』って確認したり。僕が役者をやるにあたって参考書のようにしてる一冊かな。
僕は俳優としてはまだまだだから迷うことがたくさんある。そんなときに、当時の貴一さんが教えてくれることが僕を楽にしてくれたり、もっと頑張らなきゃなって気持ちにさせてくれたりします」。
──自分の尊敬する人が書いた本があるって幸せですね。
平山「そうですね。芝居の勉強っていろいろな方法があると思いますけど、この本はこれから俳優になりたい若者がいたら、ちょっとした参考になると思いますよ」。


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