いやコレ、本当の話。実際に洒落た大人こそ、いつも同じ服を着ていたのだ。でも、こだわりのある大人たちだけに、ついついワードローブからソレを手に取ってしまう理由が面白い。知れば、新しい視点で服と付き合えるはず。
黒やグレーのボトムスなら、着回しは確かにカンタンだ。しかし無難な一本と侮ることなかれ。
どんなスタイルにも効くこれらには、きちんと持ち主のこだわりが詰まっていた。
「ノーブランド」のスラックス
「サタデーズ ニューヨーク シティ」プレス
鈴木真悟さん Age 37
一見、何の変哲もないグレースラックス。聞けば、親しい知人から譲り受けたものだという。「それほど頻繁にはくこともなかったのですが、何げなく近所のテーラーで、古臭いストレートシルエットを今どきなテーパードにお直ししてもらいました。すると、革靴だけじゃなくてスニーカーにもバランス良くハマって! 感動です。もっと早くお直しに出せば良かったと後悔しました(笑)」と鈴木さん。
ひょんなことで生まれたマイスタンダードは、ブルゾンからチェスターコートまで、どんな丈のアウターともいいバランス作り出すから不思議だ。さらには、コンバースのハイカット、レースアップの短靴と、個性の異なる足元も優しく受け入れてくれる。
コイツもついつい「サタデーズ ニューヨーク シティ」の靴履きつぶしては買い替え続ける1足。薄く柔らかなスエードアッパーで疲れ知らずなのだ。
「イエスタデイズ トゥモロウ」のスウェットパンツ
「アウン PR」プレス チーフ
高畑 誠さん Age 37
「オッサンになるほど、スウェットパンツをだらしなくならないように着こなすハードルが高くなり……」。そんな悩みを抱えていた高畑さんに朗報だったのが本作。イエスタデイズ トゥモロウのスウェットパンツは、オールブラックでクリースのようなステッチがセンターに走っている、そして裾はリブなし。
「まるでスラックスのようにはけるところに、久々にこれだ!って感覚がありました。スウェットパーカに合わせてもパジャマ感なんてまったく出ないんですよ。コートと合わせればスポーツミックス感も味わえるんですよ」と大絶賛。これで最近遠ざかっていたスウェットパンツで過ごす日々も復活だ。
コイツもついつい「フィグベル」のサングラス昨年までミラーレンズ派だった高畑さんが、今季は薄色レンズについつい。表情に渋さが宿るのだ。
中野 理=写真 野村優歩=文 今野 壘=編集・文