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ロレックスの安定感に加わる遊び心

吉原 そもそも尾崎さんがチューダーを知ったのは何がきっかけだったんですか?
尾崎 先ほども言ったIWCのワールドタイムを最初に買った20歳の頃に、時計にすごく興味を持ったんです。自然とチューダーの成り立ちとかコンセプトについてもいろいろ調べるようになって。ヴィンテージのチューダーはブレスレットがロレックス製だったり、リュウズに王冠が付いていたり、裏にロレックスという刻印があるということも、そのときに知りました。
ヴィンテージのチューダーは、ケースやリュウズなどにロレックス社のものを使用する。こうした小さなところにも満足感があるのだ。
吉原 そういう部分でも満足感があったんですよね。しかも、この価格帯で、という。
尾崎 まだ20代前半だったので、当時ロレックスっていうのは僕の中で大きいというか、大人のものだという感覚がありました。王冠を着ける準備はまだできていないというか(笑)、たぶん似合わないとも思ったので。それでチューダーを探すようになったんですよね。
吉原 あと、ショップのセールススタッフって、どちらかというとマイナーなものに注目するっていう癖があるじゃないですか。へそ曲がりで、天邪鬼(笑)。その感覚にチューダーはぴたりと合っていた。メジャーなところが作っているのに、存在としてはマニアックという。
尾崎 確かに、そうですね。ケースやバンド、中の機構はロレックスと共通する部分が多いのに違うブランドだというのが魅力というか。
吉原 それにケースサイズの絶妙さもいい。ここしばらく流行っていたデカい時計、あれ、全然エレガントじゃないよね。チューダーはスポーティではあるけどバランスがすごくいいと思う。日本人の男性がしてもサマになるサイズ感ですよね。
尾崎 デザインにひと癖あるところも好きですね。この辺りの値の張る時計って、そこまで遊べないところもあるじゃないですか。でもチューダーはちゃんとしている感もあり、遊びも楽しめる。何しろ、ベースのデザインがロレックスでお馴染みなので、基礎は押さえたうえでちょっとハズせるというのもいいな、と。「イカ針」もほかにはない形だし。ところで僕、前から不思議だったんですけど、あれ、なんで「イカ針」って呼ばれるんですかね?

吉原 イカに似てるから? まあ’80年代とかの雑誌が変な名前をつけて、遊んでいた名残じゃないですか(笑)。
※編集部注:日本では伝統的に「イカ針」と呼ぶが正式には「スノーフレーク針」。


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