OCEANS

SHARE

  1. トップ
  2. たべる
  3. “サードウェーブ焼酎”をさらに楽しむ、職人たちの「スケべゴコロ」の正体

2018.10.20

たべる

“サードウェーブ焼酎”をさらに楽しむ、職人たちの「スケべゴコロ」の正体

1980年代の酎ハイブーム、2000年代初頭の本格焼酎ブームに続き、最近ではカジュアルに、かつ個性的に楽しむ、焼酎の“サードウェーブ”が到来しつつある。
前回「焼酎ハイボール」の楽しみ方を教えてくれた浅草「利左衛門」の店主・和泉孝司さん。彼が焼酎の魅力を語るうえで何度も口にしたキーワードが「スケベゴコロ」だった。一体、どういうことか?
今回は「スケベゴコロ」に溢れた、ユニークな焼酎をご紹介。このサードウェーブにピッタリな、バラエティに富んだ焼酎の“変わりダネ”を教わった!
 

緑茶、吟醸、ウイスキー、やきいも。真面目に遊ぶ焼酎職人

「焼酎は実に日本人らしいお酒です。古き良き伝統を大切にしながら、その手法でいかに遊ぶか。なかにはシェリー樽やコニャック樽に寝かして香りをつけている焼酎や、製造工程で最高級の一番茶葉を入れる焼酎もあります。こうしたところに職人たちの遊びゴコロというか、『スケベココロ』が垣間見えます」。
焼酎は思ったよりも、ずっと面白い世界かもしれない。そう思わせてくれる変わりダネがコチラ。
左●白金吟酒/白金酒造、中●大石/大石酒造場、右●やきいも黒瀬/鹿児島酒造
①イモなのにまるで日本酒のような焼酎「白金吟酒」(シラカネギンシュ)
焼酎をつくるのに不可欠な酵母に、日本酒で使われる「吟醸酵母」を代用した白金吟酒。イモ焼酎なのに、まるで日本酒のような飲み口で、すっきりと爽やか。白金酒造は明治2年創業で、鹿児島最古の蔵元。老舗の技を存分に活かした逸品だ。
②ブランデーの樽で熟成させた焼酎「大石」(オオイシ)
コチラはなんと、シェリー樽に3年間、コニャック樽に5年間寝かせてブレンドした米焼酎。伝統的な手法で作られた焼酎をウイスキーやワインのように長期熟成させるとどうなるのか? そんな好奇心から生まれた異色作。焼酎とは思えない芳香な香りが特徴。
③蒸かし芋より焼き芋派が生み出した「やきいも黒瀬」(ヤキイモクロセ)
通常、イモ焼酎に使うのは蒸したさつまいもだが、この焼酎は焼いた紅芋を使用している。薩摩のイモ焼酎300年の歴史の中で開発された革新的な技術で作られたものだが、誕生のキッカケは「芋は蒸すよりも焼いたほうがウマい!」という、極めてシンプルな発想。焼き芋ならではの、香ばしさと甘さが楽しめる一杯。
④焼酎とお茶。鹿児島の2大巨頭が共演した「知覧Tea酎」(チランティーチュウ)
知覧Tea酎/知覧醸造
焼酎のメッカというだけでなく、お茶どころとしても知られる鹿児島県。コチラはその“いいとこ取り”とも言える、爽やかな緑茶が香るイモ焼酎。使用しているのは知覧産の最高級の一番茶葉と厳選した南薩摩産のさつまいも。代々、緑茶の生産とイモ焼酎の製造をかけもちしてきた蔵元が「どうせならふたつの魅力を合わせてしまえ!」と試みた銘柄。水はクルマで往復3時間かけて汲んでくるというこだわりっぷりだ。
お茶や日本酒、ウイスキーとの融合。こうした実験的取り組みこそが、「何が起きるのか知りたい、見たい」という職人の「スケベゴコロ」なのだという。
 

変わりダネをとことん楽しむ、ちょっと変わった“ツウ”なロックとお湯割り

これらの変わりダネは、焼酎ハイボールとして飲んでみても抜群に美味しいが、素材の味をじっくりと楽しみたいなら、ロックやお湯割りもいいだろう。
■和泉さん流「ロック」
和泉さんオススメのロックの作り方は、グラスに氷を入れ、焼酎を注いでステア(軽くかき混ぜること)したあとに、そっと少量の「水」を足すというもの。

「最後に入れる水はステアしません。すると、いちばん上に水の層ができます。この方法で飲み始めれば、焼酎の香りはあるけど、ほとんどが水なので、口当たりが柔らかい。時間が経って溶けた氷は下層の焼酎の味をいい感じに丸くしてくれるので、最後まで飲みやすいですよ」。
■和泉さん流「お湯割り」
お湯割りも、ただ焼酎に熱湯を注げばいいというわけでもないらしい。和泉さんいわく、お湯は70度くらいが適温(焼酎6でお湯4の場合)で、順番はまずお湯をグラスに注ぎ、焼酎はあとに入れる。そのあとはグルグルと混ぜないことがポイントだそうだ。
「お湯に焼酎を注ぐことで、対流が生じます。すると、お湯と焼酎が勝手に混ざろうとするので、手で混ぜる必要はほとんどありません。これがいちばん美味しい飲み方です。お湯割りが最も焼酎の味がわかる飲み方なので、“ツウ”になると、水割りを作るときも、大きめのグラスで焼酎ロックを作り、そこにぬるめのお湯を注いで飲む、という方もいらっしゃいます」。
いつもとちょっと違った焼酎を、ちょっと“ツウ”な飲み方で。まさにサードウェーブ焼酎の王道的な楽しみ方ではないか。
次回は“焼酎で作るレモンサワー”の魅力をお伝えしたい。
 
[取材協力]
雷門焼酎バル 利左衛門
http://asakusa-rizaemon.com
03-6231-7706
ぎぎまき=取材・文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。