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2018.10.18

気分も価値も高騰する20世紀のフェラーリには夢がある

ひと目で惚れる世界の旧車 Vol.5
ここ数年、メーカーが続々と取り入れ始めている中古車の認定制度に、レストア部門の新設。それによって安心して古いクルマを楽しめるようになるのは、我々の大きなメリットだ。
そこで、往年の名車が集まるイベント「AUTOMOBILE COUNCIL2018(オートモビル カウンシル2018)」に行って気分がアガる中古車たちを探してきた。アナタのハートを撃ち抜くクルマはどれだ!?
小さい頃に憧れて、今でも「いつかは!」なんて思いをどこかに持っているスーパーカー。
実は最近、オーシャンズ世代にとってスーパーカーのイメージの筆頭である1980〜’90年代のフェラーリの価格が高騰中だ。それってつまり、今改めて価値が見直されているということ。
最新のフェラーリは、ターボがついたり、ついには盟友ピニンファリーナ(デザイン担当)と袂を分かつという噂もある。となればピニンファリーナのデザインで、ターボのついていないあの頃のフェラーリは、今後もっと幻の1台になっていくかも!?
まあ、いくつになってもそんな夢を見させてくれる美しいフェラーリを、まずは写真で見て堪能しよう。
 

当時の世界最速!? 全スーパーカー世代が憧れた
「フェラーリ 512bbi」

1970年代、ライバルのランボルギーニ・カウンタックの最高速度が300km/hで、512BB(’76年に登場し、’81年に512bbiにマイナーチェンジ)は302km/hをマーク。スーパーカー少年たちは「おぉ〜カウンタックより速い!」と512BBの市販車世界最速を絶賛した。
1984年式「フェラーリ512bbi」4500万円/Auto Speciale
もちろんデザインを手掛けたのはピニンファリーナ。とにかくカッコいいそのボディのミッド(クルマの中央)に搭載されるV型12気筒(180度角なので見た目は水平対向)エンジンは、何しろ創業者のエンツォ・フェラーリが、当時8気筒の「ディーノ208」を販売していたにも関わらず「12気筒以外のストラダーレ(市販車)はフェラーリと呼ばない」とまで言ったのだから、まさにフェラーリの象徴なのだ。
当時の少年たちがこぞってのぞき込んだ512bbiのコックピット。320km/hまでの速度計に心が踊った。
 

バブル時代の華は、今もなお「高値」の華
「フェラーリ テスタロッサ」

512bbiの後継モデルがこのテスタロッサ。デザインしたのは同じくピニンファリーナだ。
1985年式「フェラーリ テスタロッサ」2800万円/Auto Speciale
折しもバブルが到来した日本でも注目度が高く、多くの有名芸能人やスポーツ選手が乗っていた。また投資目的で購入する人も多く、約2700万円で購入した新車が、ほんの1カ月後に約5000万円で売れたという逸話も残る。
スペシャルモデルのエンツォ・フェラーリなどを除くとミッドにV型12気筒エンジンを搭載するモデルは512BB(512bbi)、テスタロッサ、512TR(テスタロッサの後継モデル)の3台のみ。そう考えるととても貴重なモデル。バブル崩壊後、中古車価格は数百万円まで値落ちしたが、さすがはフェラーリ。今はほら、ご覧の通りだ。
 

“最も美しい”と賞賛されるピッコロ・フェラーリ
「フェラーリ 328GTB」

「12気筒以外のストラダーレ(市販車)はフェラーリと呼ばない」と言っていたエンツォ・フェラーリだけれど、V型6気筒をミッドに積んだディーノ246(フェラーリと名乗らず、亡くなった息子の名「ディーノ」をつけた)が人気になると、ディーノの後継としてV型8気筒を搭載する308シリーズを投入する。通称「ピッコロ(小さい、の意味)・フェラーリ」の誕生だ。
1989年式「フェラーリ328GTB」2100万円/Auto Speciale
写真の328シリーズは、この308の後継モデルでピッコロ・フェラーリに類される。308同様ピニンファリーナによるスタイリングは今なお多くのファンから「最も美しいフェラーリ」と賞賛されるほどの完成度だ。ちなみに、著名な自動車評論家の徳大寺有恒さんが唯一新車で買ったフェラーリなんだそう。
 

フェラーリファンのすそ野を拡大した“ピッコロ・テスタロッサ”
「フェラーリ 348GTコンペティツィオーネ コルサ」

上のフェラーリ 328シリーズの後継モデルとして1989年に登場した348シリーズ。当時のフラッグシップモデルであったテスタロッサを小さくしたようなデザインは、当然ピニンファリーナによるもの。
1994年式「フェラーリ348GTコンペティツィオーネ コルサ」6000万円/Auto Speciale
この348は、クーペと、屋根部分のみが外れるタルガトップモデルのほか、ピッコロ・フェラーリでは初となるオープンカーモデルのスパイダー、北米専用の「セリエスパイダー」(100台限定)など、豊富なバリエーションでファンのすそ野を広げた功労者。
そして写真のこちらは、その中でも約10台しか作られなかった本気のレース仕様車で、うち2台は実際にレースでタイトルを勝ち取ったことも。フェラーリのレースカーに乗るなんて、そうないチャンスだ。

萩原文博=撮影 ぴえいる=取材・文


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