「種カジのタネあかし」を最初から読む ーー今日はシックなブラックのセットアップ。いよいよ種カジも秋らしくなってきましたね。さて、その不思議な表情の素材は何ですか? 「スウェットです。トップスがロング丈のコートみたくなっているセットアップなんですよ。名付けて“じゃないほう”セットアップ」。
ーーえ? どういうことですか。 「スウェットといえばパーカ&リブパンが王道ですよね。そう“じゃないほう”ってことで」。
ーーなるほど、グレーの霜降り“じゃない”ところもいいっすね。 「お、よくぞ乗ってくれました! そういうことです。ブラックに染めたあとでケミカルウォッシュを施しているから重たく見えないし、むしろ気分のいなたさも出せちゃいます」。
ーーここにも種カジ的マイブーム、’90年代が隠れているんですね。 「そう。ミントグリーンのTシャツとトープカラーの“ビルケン”でさらにブースト。中間色で黒の強さをマイルドにする効果も狙ってます」。
ーーおー。“じゃないほう”をうまくこなせば、スウェットにありがちな部屋着感は出ないってことだ。 「こんな感じで近所を散歩するのもマイブーム。今の家に引っ越して半年過ぎますが、まだまだ発見が多くて」。
ーー散歩どころか、街まで出られそう。 「新しい服を着ることで行動の幅も広がる、つまり、日常の楽しみが増えるってことです。喜びもニバイ、ニバーイ!」。お、高見山!は、’80年代ですよ。
スウェットを次なる境地へ導いた質感に注目!
ーーケミカルウォッシュを施した絶妙な質感のロングアウター。 「パッと見は全然スウェットじゃないし、サイドポケット付きだから手ぶらで家を出られるし、胸の刺繍もいい感じ。気に入りすぎて最近ヘビロテ中です」。
意外なタネが隠された、王道ブランドの変わり種
「渋カジを思い出させるミントグリーンが気に入って。若い頃に着ていた服が今、1周回って再び似合うようになってきた」と、インナーには王道ブランドのTシャツをチョイス。ただ、まんま当時と同じはNG。「上質な素材にラグラン袖という“変わり種”なのが、タネですね」。
PROFILEたねいちあきら●1972年生まれの45歳、東京下町出身。サーフィンを愛する海男。長年勤め上げたビームスを退社し、現在はフリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。種カジのこぼれネタがポストされるインスタグラム(@taneichiakira)もチェック!