大好きなデニムに身を委ねる。そりゃそうだ、居心地がいいもの。それに年を重ねると挑戦心も薄れ、無難でそつがない着こなしに落ち着く。
昔はあれほど試したデニムも、いつしかはき慣れたものばかりを買い足す日々に。でも、それでいいの? そこにあの頃のようなワクワクはあるか?
この年にして「初体験!」と言える、刺激的な出会いがここに。オッサンよ、デニムで冒険せよ!
不規則なバータックが生むリズミカルな輪郭
大きく作ったパンツのウエスト、脇、前裾にタックをかんぬき(バータック)でつまむことにより、立体的なシルエットに仕上げた非常に珍しいデザインのワイドデニム。前裾に取ったタックによる生地の溜まりが程良いアクセントになり、靴との不思議なバランスを生み出す。デニムのマンネリ化を打破する、これ以上ない1本。
長い着丈と短い袖、という巧妙な計算
天然石を使用したジュエリーで人気のトムウッドは、デニムにもこだわり、すべての工程をイタリアで仕上げるという。なかでも注目すべき定番デニムシャツを今季はロング丈でリリース。ドロップショルダーやヘムの独特なカット、後ろ身頃が長めのシルエットは、秋口にサラッと羽織るのに最適だ。
クセになるケミカルウォッシュな佇まい
ベースはワークコート。ムラのあるブリーチ加工を施し、懐かしのケミカルウォッシュ風な色落ちに。水牛ボタンまでブリーチすることで透明度をアップ、柔らかい印象を獲得。今改めてこの佇まいが気になってくる!
膝で切り替わるユニークなシルエット
膝の切り替えで独特なテーパードシルエットを描くデニムのモチーフはモトクロスパンツ。加えて裾はジップ仕様で、気分や靴のボリュームで自在に調整可能。はき込んで色落ちしたようなデニムと共地のベルトは、垂らせばストリートなアクセントに。
秋色が変えるベーシックコーデ
秋の陽射し、紅葉する木々にもマッチするバーガンディーのコットンデニム。赤みが強すぎると悪目立ちしがちだが、落ち着いたトーンなら、ブラウンやベージュとも好相性。いつものデニムの色を変える、そんな気分転換のような気持ちで気軽にトライしたい。緩やかなテーパードシルエットで、脚をすっきり&きれいに見せてくれる。
パッカリングが見せる豊かな表情
ウォッシュ加工による生地の縮みを計算し、サイドに立体的な歪みとシワを生み出したパッカリングパンツは、ブランドの代名詞的存在だ。不動の人気を誇るワイドシルエットをデニムの素材で、今季は伸縮性を持たせてオッサンにもはきやすくアップデート。
谷田政史(CaNN)=写真 菊池陽之介=スタイリング TAKAI=ヘアメイク