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こちらが今回の看板娘。
都内の外国語大学に通う玲奈さん(20歳)。日本人の父とアイルランド人の母の間に生まれ、12歳までアイルランドで育ったという。
「『普通』と『こぼれ』、どちらにしますか? 『普通』はいわゆる普通サイズで500円、『こぼれ』は日本酒みたいに注ぎこぼす感じで1000円です」
当然、こぼれさせてください。
想像以上の”こぼれ”具合だった。
「値段は2倍だけど、量は2.5倍以上あるのでおトクなんですよ」
「大盤振る舞いですね」と賞賛すると、「?」という顔をしている。すぐに察して、「大盤振る舞い」の意味を説明した。
「いまだに英語より日本語のほうが苦手で。12歳で日本の中学に入ってからは、小学生向けの漢字ドリルから始めました。ひらがなはアイルランドの日本人学校で習っていたんです」
まるで真鍮のような神々しさ。
うーん、文句なく美味しい。そして、口開けのボトルの残量がかなり減っていますね。
「これぐらい注ぎました!」とドヤ顔をキメる。
黄金のカヴァに合わせたのは、こちらも玲奈さんオススメの「ワインパン」。貴腐ワインとドライフルーツを練り込んだパンで、甘い貴腐ワインの香りが漂うという。
こちらも美味しかった。
「私、パンが大好きなんです。それを知っている常連さんが、ちょくちょく差し入れしてくれるのが嬉しくて。あ、こちらの方です」
パンの紳士、登場。
自分もパンが好きなので、いろんなタイプのパンを買って差し入れているそうだ。看板娘の印象も聞いてみた。
「玲奈ちゃん? とにかく、明るいところがいいですね。でも、ファンが多いから混んでくると弾き飛ばされちゃう。あ、この子はラーメンも好きらしいよ」
玲奈さんいわく、「過去最高は替え玉6杯」というから人は見かけによらない。逆サイドの3人組にも先ほどの質問をした。
職場の仲間だという。
コメントはそれぞれ、「ルックスが素晴らしい」「声もかわいい」「後光が差している」。そう、カヴァのボトルを持っている写真を撮ったときに、僕も「あ、後光が差している」と思ったのだ。
ちなみに、手前の男性は来週プロポーズする予定だそうで、「婚約指輪は必要か否か」という議論で盛り上がっていた。
話を振られた玲奈さんは、「私はできればほしいですね」。しかし、「60万円とか70万円とかするのに、数回しかはめないらしいよ」と反論されると、「あ、じゃあ結婚指輪だけでいいかも」とあっさり意見を撤回した。
ところで、彼女は「髪を短く切りすぎた」ことをいささか後悔していた。「自分でオーダーしたんですが、想像したのより短くなっちゃいました」。乙女心は繊細なのだ。
「前はこれぐらいまであったんですよ」。


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